角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

角館の川。

2013年12月12日 | 実演日記
ちょっと珍しく角館の景色をご紹介します。





檜木内川と玉川が合流する地点で、「落合」と呼ばれています。ここら辺一帯が河川敷公園として整備されていて、市民の散歩コースに人気です。桜まつりに訪れるみなさんは檜木内川堤のソメイヨシノをよくご存じと思いますが、そこから2キロ余り下流にあるのがここですね。もちろん桜の木も連続して植えられています。

私はこの景色が大好きで、西宮家への出勤ルートにわざわざ遠回りするほどです。特に春爛漫、桜満開の時季はほぼ毎朝通ります。桜そのものが若いせいか、とてもピンクが強いんですよ。マイカーでお越しのお客様には、この場所を何人にもお教えしました。大勢の人でごった返す武家屋敷通りも楽しいですが、町民が散歩しながら眺めるこちらの桜もまた、「角館の桜」に間違いありません。

2010年9月、ちい散歩角館ロケで地井武男さんが檜木内川堤に腰を下ろすシーンがあります。ここも観光で賑わう地点から1キロほど下流で、さほど人の多い場所ではありません。この画像がメモリアルフォトブック「想・創・奏」にも掲載されています。そこにある言葉は、『川の堤防に上るの、わりとボク好きなんですよ。上りきったときのバーッとひらける景色というのは最高ですよ』。

悠久の流れというほど雄大ではない、さりとて小川のせせらぎほどささやかでもない。日本の田舎には、これくらいの川がよく似合うと思います。
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facebookを始めました。

2013年12月11日 | 製作日記
雨で始まったお休み一日目です。いつになれば雨が上がるのか分かりませんでしたから、まずは車三台のワックス洗車から始めました。雪が積もる前に済ませたい作業の一つで、これをしておけば極寒と大雪に車のダメージが軽減されると云われます。そうそう車の買い替えなんかできませんから、日ごろから大事にしたいものです。

大工さんに直してもらった下屋の小屋部分を片づけて、午後三時現在天気はすっかり晴れています。雨合羽がしぼれるほどの雨で、車三台の洗車。自分で笑えてきますね。こんな「思わず吹き出してしまうこと」「自然と笑みがこぼれること」「意外な言葉に大爆笑すること」、人の一日にはいろんなことが起こります。

今春からfacebookを始めました。商売仲間であるさんさんサンに勧められ、「それじゃあ、試しに…」くらいの思いつきです。そもそもfacebookのなんたるかも分からない状態でしたし、ブログとの両立にも若干の不安と抵抗がありました。まず比較的身近な方々から「ともだち」がスタートし、その後草履のお客様もfacebook上で偶然私を見つけ、「ともだち申請」してくださるようになっています。

少しずつ手探りのように投稿を続け、半年以上が経ちました。主に実演席での出会いや様子がテーマで、そのあたりはこのブログと大きく変わりません。どちらかと言えばfacebookが短文でリアルタイム、ブログがより詳しくご紹介したい文面という感じでしょうか。両方同じ話題の日もありますが、できるだけ中身も棲み分けに努めているところです。

ご関心がありましたら、facebookのほうも宜しくお願いいたします。角館草履のご愛用者様や、西宮家を訪れたことのある方であれば、それなりに懐かしく、また楽しく読んでいただけるかと思います。「思わず吹き出してしまうこと」、案外多いんですよ。

https://www.facebook.com/sakeiya
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町の元気はおばさまの力。

2013年12月10日 | 実演日記




今日の草履は、町内にお住いの女性のオーダー草履です。『ピンク色が大好きっ!』とおっしゃる女性には、日暮里から届いたばかりの新柄を見ていただきました。そして出来上がった草履がこちらというわけです。枝垂れ桜のごとく可憐で可愛らしい草履に仕上がりましたね。昨日の「今日の草履」と色違い、ピンク基調に折鶴が美しい平生地がこちらです。



明日と明後日の二日間お休みをいただきます。昨冬の大雪で壊してしまった自宅裏手の下屋を、大工さんに直してもらいました。私も日曜大工は大好きなのですが、日にちをかけてじっくり取り組んだところで所詮は素人。費用対効果を見極め、このたびはプロの手を借りました。このお休みでもう一度片づけ直し、目前の冬本番に備えたいと思います。

さすが12月というのもナンですが、お客様の姿がずいぶんと少なくなりました。大人の休日倶楽部乗り放題チケットの期間も終わりましたし、なにかと出費の多い年末を控えていますから、むしろ当たり前の姿かもしれません。
そんな中でレストランへ食事に訪れる中高年の女性は、いつも一定人数があります。そして食欲を満たしたおばさまたちはとても元気ですよ。平和の象徴がここにある気さえします。

40代以上を対象にした「現在の自分は心身ともに健康ですか?」の問いに対し、「はい」と回答したのは60代が最も多い。そんなアンケート結果が今朝の新聞に載っていました。一般に40代~50代は子どもの養育費用がありますから、どこかで無理をしている自覚がありますね。70代以上になると、今度は体のどこかに具体的な心配が生まれるのでしょう。
日々出会う旅人や地元のお母さんたちを見ても、このアンケート結果には大きくうなずきました。女性限定で集計したら、もっと率が上がるんじゃないでしょうか。

もちろんそんなおばさまたちが、角館を賑やかにしてくれる主役です。今年の最後も来年も再来年も、この先ずーっとおばさまたちには元気でいて欲しいものです。
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師走・街の彩り。

2013年12月09日 | 地域の話




今日の草履は、さいたま市からお越しくださった女性のオーダー草履です。日暮里から入荷したばかりの新柄を、別のお客様に見ていただくため実演席へ持ち込んでおりました。せっかくなのでさいたま市の女性にもお見せしたところ、ご自身でお選びなのがこちらの配色です。とても可愛らしく仕上がりましたね。今朝の便で出発しました。間もなく履いていただけますよ~(^^)/
赤基調に折鶴が美しい平生地がこちらです。



♪暦の上ではディセンバー…なのに、今日の角館は小春日和の穏やかな一日となりました。外出がちょっと楽しくなるくらい、こんな日は少し珍しいと思います。しかしこれも今日一日だけの話、明日の予報は「暴風雨」、明後日は「暴風雪」と出ています。そこまで荒れるかはそのときにならないと分かりませんが、いずれ師走も半ばですから、積雪の覚悟は皆出来ているでしょう。

草履コーナーに立ち止ったお客様から『可愛い!』の声を聞けば、それはもちろん私のことではありません。十人中十人が草履を見ての言葉でしょう。それがこの時季だけ例外があります。それは師走にだけ飾る一対のお人形。外国で生産されているなんとかという人形らしいのですが、そういうことに詳しくない私は「クリスくん」と「マスちゃん」と呼んでいます。



世の中はクリスマス一色になっていますね。西宮家米蔵入口もイルミネーションで飾られています。





今年で七回目を迎えた、立町ポケパのイルミネーションがこちらです。





暴風雪がやってくるまでのしばしの時間、美しい光の芸術を楽しみましょうか。


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秘密は持たないが一番。

2013年12月07日 | 製作日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
淡い紫が優しく表れた草履です。組み合わせも紫にしましたので、「紫好きさん」にはもってこいの配色ではないでしょうか。女性であれば年齢問わずお勧めできると思います。
巻かれて隠れてしまったのは「うさぎプリント」。草履職人の干支であります。



イ草に布を巻く際の太さは、おおむね6~7mmでしょうか。もっともこれは草履サイズによって微妙に変わってきます。子ども用の小さいサイズなら約5mm、成人男性用の大きいサイズなら約8mmといった具合です。こうして一定の太さにすることで、布地のプリント柄がチラホラと見え隠れすることになります。これが面白い配色となって現れるわけですね。

「特定秘密保護法案」という法律が可決されました。国会内はもちろん、国民の間でも賛否が分かれているようです。他国との外交上、機密が漏れやすいのは確かに致命的でしょうね。一般社会でもその「秘密度」に応じて、喋る相手が変わるのはよくあることです。
ただ、世の中の「ここだけの話」ほどイイ加減なものもありません。決して漏らしてほしくなければ、誰にも喋らないことが一番でしょう。

数日前の新聞に、法案可決反対の立場から山田洋二監督のインタビュー記事が掲載されていました。その中に旧ソ連時代のジョークが引き合いに出されています。

一人の男がときの最高指導者を「バカ」と言い、当局に逮捕されました。男が訊きます。
『私の罪はなんですか?侮辱罪ですか?』
『いや、お前の罪は国家最高機密を漏らした罪だ』


この手のジョークが大好きですよ。国家最高機密なんて話になると、私なんぞではワケが分かりません。まぁ、普段の生活レベルの秘密なんかは、だいたいチラホラと見え隠れするものですがね。基本は秘密を持たないことが一番でしょうか。
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故人を偲ぶ旅人。

2013年12月06日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き[四阡四百円]
配色としては最もオーソドックスなスタイル、紺系にエンジは「秋田おばこ調」で人気です。なんと言いますか、編んでいても安心感がありますね。様々な配色が角館草履の面白さは言うまでもありませんが、それはやはり定番があってこそと思います。これからの在庫作りの冬場に、秋田おばこ調もしっかり編んでおきましょう。

今年も実に多くの旅人と出会いました。ひとり旅、ご夫婦旅、グループ旅、事業所の研修旅行と、そのスタイルも多種多様です。そんな中でひとつ共通して言えるのは、みなさんとても楽しんでらっしゃいますね。もちろん旅先で特段イヤな思いでもしなければ、旅は楽しくて当たり前でしょう。

仙台市からお越しのおばさまひとり旅。ふらりと入って見え、私の勧めに応じるように丸太椅子へ腰を下ろされました。ミニ草履を目に留められたおばさまは、『7ヶ月の孫にぴったりかしら!?』。履いて歩くことはできないにしても、初誕生日のお祝いに「一生足が健康でありますように」の願いを込めて、草履を履かせる素振りをする風習をお教えしました。
納得のおばさまは、初誕生日用とご自身の健康を願ってトイレ用にと二つお選びです。

おばさまはこの旅の話をぽつぽつとされました。『もう八年前なんですけど、主人を亡くしまして。十二年前に二人で旅行をした角館を、今日は一人で歩いてみたいと思って来たんです』。おばさまのご年齢を推測するに、『ご主人は若くして亡くなったんですね』とお訊ねすると、『はい、まだ50代でした』。
二ヶ月後には私も51歳になりますし、私の実父は52歳で他界しています。

旅をする人々の想いは、実に様々です。多くの方々は笑顔を見せていますが、そんな中でも何かしら胸に秘めたものがあるのかも知れません。私たち旅人を迎える側の人間が、ひとりひとりの想いを分かる必要はありませんし、そんなことができるはずもありません。ただ、ひたすら楽しいだけの旅ではない人間もいることを、心に刻んでおきたいものです。

故人を偲ぶ旅人とは、これまで何度かご縁がありました。涙をこぼしながら話す人もいるほど、そのときのお顔に笑顔はありません。実演席を立ち去るときにいくらかの作り笑顔は見られますが、角館の旅が終わるときにはほんとの笑顔になっていることを祈るばかりです。
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金の草履でゲン担ぎ。

2013年12月04日 | 実演日記




今日の草履は、金の草履シリーズ23cm土踏まず付き[五阡六百円]
久しぶりに金色に輝く草履を編みました。彩シリーズの展示品がどうにか満タンまでこぎつけましたので、夏に仕入れておいた金色の布地を引っ張り出したわけです。材料費の都合で彩シリーズより割高になりますが、話のネタとしては面白い草履ですね。

角館草履の素材であるイ草を、実演席に置いて販売しています。布だけで編む布草履を経験された方、もしくはかねてから編みたいと思っていた方に、『これを買って行けば編めるの?』とよく訊かれます。もちろん理論的には編めるわけですが、技術的な面からすぐに草履になるとは言えません。

イ草を素材にすることで、ひとつに力仕事になります。しっかりとした力で草履の形に仕上げていく作業は、まず最初の一足や二足で出来るものではないですね。理想的な草履の形というものを、私は綺麗な「小判型」と思っています。つま先とかかとを同じ形状に仕上げるには、ある程度の熟練が必要でしょう。
「小判を手に入れる」、つまり御代をいただく商品とするためには、たかが草履といえどもそれなりの努力が要りますね。

草履を編んでお金を得るより、草履を履いてお金を得たいとするならば、「金の草履」がゲン担ぎとなるやもしれません。
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歴史の話題。

2013年12月03日 | 実演日記
久しぶりの好天に恵まれた今日の角館です。おそらく今日くらい穏やかな日は、この先そうはないでしょう。千葉県館山市からひとり旅を愉しんでいたおばさまは、『こんな厚い冬ものを着てきたのに、思ったよりずっと暖かなんですね』。温暖な館山に暮らすおばさまでも、今日の角館は気持ちよく感じられたようです。

昨日ご紹介の「今日の草履」は、東京都練馬区からお越しのおばさまがお持ち帰りくださいました。還暦を少し過ぎたというおばさまは、草履のごとくエレガントでありました。
ご夫婦旅をお愉しみのおばさまは、武家屋敷通りで角館の歴史に触れたそうです。実演席でも芦名と佐竹の関係から戊辰戦争まで、角館の歴史をおしゃべりして行かれました。

『子どもの頃は全然興味がなかったのに、歳をとったら旅先の歴史が面白くてっ!』とおばさま。私もちょうどそんな感じですよ。中学も高校も歴史は苦手でした。高校生活で一度だけ赤点をとったことがあって、その教科が世界史です。今でも世界の歴史はほとんど分かりませんが、日本史は一定の年齢になって嫌いじゃなくなりましたね。角館の歴史については、必要に迫られて…というのがほんとのところでしょう。

大人の休日倶楽部乗り放題チケットが終わると、角館はまたひとつ静かになると思います。実演席での話題には、少し時間の要る「角館の歴史」が多くなるかもしれません。
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師走となりました。

2013年12月02日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
黒地に不規則な白抜きドット柄が、澄んだ星空を連想させます。セオリーではエンジを合わせるところ、「今日の草履」はあえて紺にしてみました。エレガントな配色は、やはり「大人の女性」にお似合いでしょうか。どのようなお客様がお選びくださるか、私も楽しみにしたいと思います。

いよいよ暦はラスト一枚となりました。師走の角館はいかにも初冬の天気が続いていて、なかなか晴れ間が見えません。それでも気温は比較的高めで、この先数日は積雪にならないでしょう。「大人の休日倶楽部」の乗り放題チケットで角館を訪れるお客様が多いですから、せめて期間中の8日までは荒天とならないよう願っているところです。

トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。晴天を見つけて一~二日休みたいと思っていますが、ひとまず今月25日を今年の実演最終日としました。大晦日までの六日間をお休みとし、来年はまた元日から実演をスタートさせる予定でおります。
「大人の休日倶楽部」やDC効果で、例年より散策の多いこの師走。2013年のラストをしっかり務めたいと思っています。
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