角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

夢とお金。

2009年08月17日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調のふくろうプリントをベースに、合わせはエンジです。
角館草履の典型的な配色ですね、秋田おばこ調が逆に新鮮でもあります。フクロウで縁起も担いで欲しい平生地は、こちらになります。




お盆14日からの角館は、遅れた夏を想わせる高気温となっています。連日30℃超えの日中はさすがにキツいのですが、朝晩の気温と吹く風には明らかな秋を感じますね。
昨日の日曜日から、お祭りの曳山を組み立て飾り付ける「やまこしゃ」をはじめた丁内があります。時節は秋のお祭りに向かっているのが、周囲の光景からも見て取れるようになりました。

湯沢市からお越しのおばさま、西宮家へは用事があってお越しだったのですが、実演を眺めているうちにだんだん興味がわいてきたご様子です。やがてお好みの配色をお選びくださいました。
その後の話題は角館草履の「収益性」へと移ります。

『こういうお仕事は儲けってどうなんです?』と訊かれたので、『確かに手作り品というのは人件費を除くコストが低いですから、利益率は高いでしょうね。でも結局は作られる分だけがお金に変われるわけで、重要なのは生産量でしょ』とお答えしました。

一日の労働時間や年間の労働日数をお話しすると、「金を稼ぐ」目的とは若干異なることがお分かりいただけたようです。
『でも観てると楽しそうねっ』とおっしゃるので、そこは強く肯定しました。草履作りに「夢」を語るのは少々大げさですが、少なくとも楽しくなければ継続は困難でしょう。

横浜市からお越しの女性ふたり旅、それぞれにお気に入りをお選びくださり、さらにお土産として男性用をお買い上げくださいました。
ひとりの女性が『作ってるとこ写真に撮ってもイイですか?』とおっしゃるので、もちろん快諾をしました。公開実演では日常にあることです。

私の手元にカメラを向けると、もう片方の手になにやら人形らしきものをお持ちです。よく見ると人形の手足に細い棒が付いた「操り人形」、その人形と私の手元を同時に捉え、人形が私の仕事を紹介しているかのシーンを想像させます。

『もしかするとそういう(人形関係の)お仕事をされているんですか?』とお訊ねすると、『そうなんです、ひょっこりひょうたん島ってご存知です?あの人形劇団で働いてるんですっ』。

そういうお仕事を聞いて最初にイメージするのは、どうしても「夢」なんですね。『楽しい仕事なんでしょ?』とお訊ねすると、『そりゃあもう、お金の心配さえなければ桃源郷ですよっ』。

夢に生きるかお金に生きるか、これもまた人生いろいろと思うわけです。

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