今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き[四阡四百円]
ベースの緑は先回の「今日の草履」と同じですが、三ヶ所に配した辛子色の帯で、若干色具合が落ち着いた感じになりました。少しご年配の女性にお似合いかもしれません。メーンのベース生地が同じでも、組み合わせによって雰囲気が変わるのが面白いところですね。
『これみんなひとりで作るんですか?』。冬場にずらーっと並んだ草履たちを見て、こんな言葉がよく聞かれます。ミニ草履と子ども用はカミさんが、あと「生徒さん作品」と明記して何点かの草履を展示していますが、大人用の土踏まず付きは私ひとりで作るんですね。ずいぶん前お電話でご注文のおばさまに、『あなたが作った草履を送ってくださいねっ』と言われたことがありました。思わず吹き出したことを憶えています。
聴力を失った天才作曲家、佐村河内守氏。いっときNHKさえ特番を組むほど話題になりました。私にクラシックの解説などとても無理ですが、その曲はフィギュアスケートにも使用されるほど名曲のようです。それらの曲すべてが、佐村河内氏の作品ではなかったと判明しました。関係者の混乱はたいへんなもののようです。
「影武者」を告白した男性の話では、佐村河内氏の聴力障がいそのものが疑問なんだそうですね。仮にその証言が正しければ、これって「詐欺」になりませんかね。彼の曲が評価されたのは、聴力が失われた人間が作ったところに少なからずあったでしょう。別人が作ったことだけでも決して軽い罪とは思えませんが、聴力障がいにもウソがあったとしたらその罪は果てしなく大きいですよ。
影武者が得た収入は700万円とのことですから、佐村河内氏の得た金額はその何倍かでしょう。彼の作曲であると疑うことなくCDを購入された人たちは、どんな気持ちでいるのでしょうか。ものづくりの末席にいる者として、彼の今後の言葉に注目しています。
どんな業種であっても、ものを作るというのはそれなりの苦労があるものです。その苦労を背負っていない人に、「作者」を語ってほしくはないですよ。
角館草履には、「影武者」も「ゴーストライター」も存在しません。