角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

商品の素性。

2014年02月05日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22CM土踏まず付き[四阡四百円]
緑で統一した配色の中でも、特に可愛らしさが表現されたと思います。「緑好きさん」は性別や年齢と無関係に多いですから、足の小さな可愛らしい女性にいかがでしょう。『緑色が大好きなんですよ~』とおっしゃるお客様とは、今年に入ってからも複数出会っています。どのような女性がお選びくださるのか、楽しみにお待ちしましょう。

昨日のこと、30代と思しき女性が私を訪ねて見えました。正確には「私を…」ではなく、「西宮家で草履を編んでいる人を…」になりましょうか。女性は広島県のご出身で、現在は仙北市田沢湖地区にお住まいといいます。かねてから布草履をご愛用で、その入手先が田沢湖駅前の物産館でした。ご自分用と共にご友人3人へのプレゼントを頭に描き訪れたところ、もう編む人がいないため販売していない旨伝えられたそうです。困った女性が他に売っているお店を訊ねると、『角館の西宮家で草履を編んでいる人がいるそうですよ』と教えられたわけです。

実演をご覧いただきながら角館草履のご説明をすると、これまでご愛用の布草履とは大きく違うことをご理解くださいました。ただ一般的な布草履の値段はおおむね千円~二千円、角館草履は想定外の値段だったため、ご購入はひとまず次回へ持ち越しとなりました。
女性が高い関心をお寄せだったのは、草履そのものもさることながら「公開実演」のほうです。素材も編み方も健康効果も、編んでいる姿を観ながら本人が説明する。このスタイルにとても共感してくれたんですね。

女性がおっしゃるのは、『今の世の中は出来上がった商品こそ山のようにあっても、それがどこで誰がどんなふうに作っているのかほとんど分かりませんからね。食品はだいぶ表示がよくなりましたけど、消費者にしたらそういうのって大事ですものね』。
私が所要や休養で休む際は、すべての草履を撤収します。つまり私の説明ナシに草履が販売されることは100%ありません。女性が指摘された「商品の素性を知る」、そこがまさに実演の目的なわけです。

もうひとつ女性がおっしゃるのは、「手作りの良さ」でした。ひとつひとつ、あるいは少しずつ出来上がっていく手仕事。それを知っているからこそ大切に使うユーザー。この関係性を真っ向否定する人はまずいないと思いますね。もちろん関心の薄い人はいるでしょうが、実演席で足を止められる多くの人々がその証明と実感しています。

こちらの女性は近々再度お訪ねくださるでしょう。冬のうちであれば、選び放題を確認してお帰りでした。
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