角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

角館の未来と人間性。

2013年02月06日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔五阡円〕
色調としてはオーソドックスな男性向け草履です。和を生かした、言葉を選ばなければ「田舎くさい」こうした配色が、私としては角館草履の原点のようにも思えます。案外お買い上げくださるのは、都会の紳士かもしれませんね。

先月の末、明日から草履コーナーが三連休というその日、この時季にしてはお客様との出会いが多い一日でした。朝からお買換えのお客様が三人でお訪ねくださったり、「初角館」のおばさまとも複数お会いしました。そんな中でおふたりのおばさまそれぞれに言われたのが、『東北人には、なんか日本人の原点を感じるんです』。

おひとりは群馬県高崎市から、初角館をひとり旅で愉しんでいるおばさまでした。『一度来たいと思ってて、念願が叶いました』とおっしゃるおばさまは、角館草履にも縁を感じてくださりご自分用をお買い上げでした。

おばさまがおっしゃるのは、『群馬県は東京に近すぎてダメになった気がします。なんでも都会に倣う風潮が出来てしまって、群馬独特のものが廃れてしまったんですよね』。
比較して東北は今なお独自の文化を持っていて、そこに「日本」を感じるということでした。

こちらのおばさまがお帰りになって間もなく、やはりひとり旅を愉しんでおられる神奈川県川崎市のおばさまがお立ち寄りです。こちらのおばさまも角館草履に縁を感じてくださったのでしょう、迷うことなくお買い上げになりました。

『東北を巡って来たんですけど、どこへ行っても人間がいいですよねっ』とおっしゃるおばさまに、今しがたの高崎のおばさまの言葉をお教えしました。すると、『まさにその通りっていう気がしますよ』。

角館を訪れる旅人と日常に会話して、いわゆる「東北の良さ」には地元民の人間性を含むのがよく分かります。おそらくその点に「期待感」もあるのでしょうから、逆に私たちにすれば恐い条件かもしれません。

一昨日の晩、角館あきんど塾の例会がありました。座っていた周囲で話題になったのが、「観光地角館の今後」です。2014年には金沢までの北陸新幹線が開業し、2015年には函館までの北海道新幹線が開業を控えています。今年は大河ドラマで会津が有力ですし、世界遺産の平泉だってもちろん元気でしょう。

さて角館、春の桜まつりはまず心配ないとして、JR東日本と秋田県が主催するデスティニーキャンペーンと県種苗交換会の時期が重なる秋も、一定の賑わいは期待できると思います。

来年以降の角館はどんな様子になるのか、ひとまず「人間がいい」という評価だけは裏切っちゃいけませんね。
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