
今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
茶の唐草をベースに、合わせは薄茶基調の木目プリントです。
同系色合わせの典型例なんですが、やっぱり茶色というのはなかなかお洒落ですね。木目プリントが「逞しさ」を連想させますから、男気のある勇敢なお父さんにいかがでしょう。
予報通り昼から雨になりました。夜を迎えた今も降り続いてますから、結構な雨量になるでしょう。道路の凍結した部分が雨に濡れると、滑りやすくなって徒歩も危険です。屋根からは解けた雪がツララと共に落ちてきて、ときに驚くような音をたてていました。
そして明日はまた真冬日に近いそうです。この寒暖の差が結構イヤなんですよねぇ。
角館歴史案内人と共にお越しは、60歳代前半と思しきご夫婦です。奥様は片足が不自由なようで、杖をご利用でした。前述の通り今日の角館は徒歩も難儀ですから、『あいにくの雨になってしまいましたねぇ』と私が言うと、優しい笑みをたたえた奥様の言葉は、『雨も良し、雪もまた良し。天気なんてさほどのことはないですよっ』。
二行にも満たない言葉なれど、草履職人の心にしっかりと響いたものです。
私の推論なんですが、奥様の言葉をもっと広げるとこんな感じじゃないでしょうか。
『私は角館という土地を訪ねて、今その町を散策することがすべてなんです。そのときの天気が雨であろうと雪であろうと、目的さえしっかりしていればそれがなにほどのものでしょうか』。
以前のブログにも書いたことがありますが、『変えられるものは変えよう。変えられないものはそのまま受け入れよう』の言葉は、今も私の心に刻まれています。自らの人生において、「変えれば良くなる」はいっぱいあります。でもそれは手を尽くして成し遂げられるものと、そうでないものとがあるわけです。そうでない場合は、そのままを受け入れて且つその中で最善を見つけるというのが、この言葉の趣旨ですね。
これも私の推論でしかないのですが、奥様は片足が不自由であるが故に、「雨も良し、雪もまた良し」の心境にいられるんじゃないでしょうか。
冬は寒い、夏は暑いと言ったところで、人間がこれを変えるなんてことが出来るはずもありません。であれば、寒さの中に喜びを見つけ、暑さの中に楽しさを見出すことが人として賢明でしょう。
公開実演は、ときに「人生」を教えられます。