角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ひとつの覚悟。

2008年06月12日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ24cm土踏まず付き〔4000円〕
紫基調のうさぎ&桜花プリントをベースに、合わせは同系の紫です。当地の生地屋さんにも、「うさぎ」「桜」といったプリントが案外多くあります。それでも今日のベースのような地色ははじめて見ました。可愛くもお洒落な配色と思います。

ここ数日マスコミを賑わせているのが、「秋葉原通り魔事件」。悲惨です、言葉になりません。『人生がイヤになった』のはひとり、『なんでここで死ななければいけないの?』が複数、こんな理不尽がありますか。
犯人の出身地は青森県、環境は秋田県とまず同じでしょう。25歳の若者が持つ、大都会への「羨望」は少し分かります。もしかして彼は、都会に暮らしているというだけでその人たちを「勝ち組」と思ったのでしょうか。ほかのみんなが幸せで、不幸なのは自分だけと思ったのでしょうか。だとしたらもう少し歳を重ねて欲しかったです。やがて分かることでした。

ラジオ番組のコメントで、『日本人は人ごみに対する警戒感が薄い』と言ってました。ひとまず意味は分かるとして、では一体どうやって警戒すれば良いのでしょう。常に四方を気にしながら、キョロキョロ見回して歩くのか。それこそ挙動不審でしょうね。
この五年間で、通り魔的事件が30件発生しているそうです。家の中にいれば安心かと言えば、空き巣や強盗事件はその何倍でしょう。つまりは、生きることにひとつの「覚悟」が要るんでしょうね。

話は飛ぶのですが、今度の日曜日に「年代別野球大会」が行われます。角館に暮らす昭和30年会から39年会までの10チームが、トーナメント制で親睦を深めます。
出身は角館でも今は他地域に暮らす人が大勢いますから、どのチームも人が余っている年代はありません。それはわが37年会とて同じ、今年はとりわけ参加できる人が少ないんです。

八人まではなんとかなりましたが、野球という種目は九人いなければダメだそうです。角館人には「棄権」という言葉がありません。なんとしてもあとひとり、名前を挙げられたのは草履職人でした。
もう何年も野球のユニフォームなど着ていませんし、まず「走った」というのが最近いつだったか思い出せない始末です。朝から晩まで草履を編むだけの生活が続く草履職人に、「運動」を超える「スポーツ」なんて普段には考えられません。

通り魔ほどではないですが、私にとっては案外大きな「覚悟」なんです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする