角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

痩せる草履!?

2007年10月30日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
グレー地のふくろうプリントをベースに、ベージュ基調のひらがなブリントを合わせてみました。グレーの渋さをベージュが和らげてくれた感じでしょうか。中高年の女性にいかがでしょう。

『踵(かかと)がない草履って出来ないの?』。どちらからお出での方か聞き漏らしましたが、中年のおばさまに訊かれました。実はこの質問、これまでも数人から言われています。「踵がない草履」、それはつまり、かつて流行した「ダイエットサンダル」をイメージしてるんですね。

土踏まずの辺りで終わっている踵がないサンダルで、これを履いて「痩せる」というのは、踵を常に持ち上げた状態で履くことでヒップアップに役立つんでしょうね。基本的に「痩せる」のかどうか、私には分かりません。

かつてワラで作っていた「草鞋(わらじ)」にも、こういうスタイルがあったようです。「足中(あしなか)」と呼ばれるこの草鞋、以前発祥ルーツを調べたことがありました。それは戦国時代までさかのぼります。

戦地に赴く足軽たちが履く草鞋を作る百姓がいたそうですが、草鞋というのは耐久性に乏しく、しょっちゅう新しいものと取り替える必要があったようです。さらに足軽の人数は数千~数万に及びますから、どんなに編んでも追いつかなかったんですね。それでも次から次へと戦地へ届けなければなりませんから、次第に「手抜き」がはじまったようです。
それが意外にも、この“半製品”の草鞋を履くと走るスピードが速くなったそうですね。理由はよく分かりませんが、踵がないだけ自然に姿勢が前かがみになりますから、そんな影響があったのかも知れません。

ルーツが「手抜き」からはじまった説はなかなか面白く読みましたが、どうやら足中の場合は「痩せる」とは無関係のようでした。

県庁に勤務する同期生は、どうひいきめに見ても「メタボ体質」です。この間まで国体関係に従事していましたが、その国体も終わりました。昨日たまたま電話があり、『国体終わって、今度はどごサ行ぐおご?』と尋ねると、県北にある県庁機関とのこと。
『ほぅ、そごでナニやるおご?』と尋ねると、『健康作りの仕事だなっ』。メタボな彼に「健康作り」ですから、『おおっ、オメぇサピッタリでねぇがっ!』と言うと、『んだっ、まぁ実験台みでぇなもんだべっ!』。

踵のない草履が本当に痩身効果があるなら、ぜひ彼に実験台を頼みたいところです。

コメント
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