角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

時給ですかぁ!?

2006年11月15日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ24cm〔3000円〕
花火柄にエンジの緒、真中に琉球模様をアクセントしてみました。とてもカラフルな草履に仕上がったと思います。
路上ライブで初登場した琉球模様でしたが、いよいよ残り僅かです。私自身もとても楽しませてもらった布地でした。

今日の角館も、朝から冷たい雨です。ときに陽が差し、またときにみぞれになり、いかにも冬間近の気候です。

埼玉県川越市からお越しの修学旅行ご一行様、高校生300人弱の団体さんです。中で女の子三人が、人懐っこく寄って来ました。
『なに作ってるんですか、わらじ?』。わらじと草履の違いを簡単に説明すると、『へぇ~、そうなんだっ!』。女子高生の質問が続きます。
『何年くらいやってるんですか?』『一足編むのに何時間かかるんですか?』、そして極めつけは、『時給いくらになるんですか?』。
さすがはアルバイト世代、これまで「時給」という言葉ははじめて聞いたかも知れません。

千葉県成田市からお越しのおばさまグループ、草履実演を見つけての第一声、『あぁ、やっぱり自然の中にこういうのがイイわねぇ~』。
やはり、『一日にどれくらい編めるの?』のご質問から、一日の労働時間と稼働日数にまでご質問が及びました。『だいたい一日14~15時間くらい働いてますね。今年草履を一足も編まなかった日は、おそらく4~5日しかないと思いますよ』とお答えすると、『今のご時世、それだけ仕事があるってこと自体嬉しいことよねぇ、ましてあなたの仕事は人様に喜んでいただけるでしょ!』。

労働時間の話をすると、私の同期生で木工所を経営しているSHくん。彼は朝8時から日付が変わったあとまで、毎日仕事をしています。おそらく私の知る中では、トップクラスの労働時間でしょう。
『日曜日だけでも休むためには、仕方ねぇもの‥』と彼は言います。もちろんそれなりの収入もあるんでしょうが、「時給」にすれば‥ですね。

「ものづくり」を生業にする人間が一定の収入を得るためには、「8時間労働」なんていうのはヨソの国の話みたいです。
今日の女子高生に、「時給」は言えなかったですねぇ
明日は都合で実演をお休みしますが、もちろん寝てるわけでも遊びに行くわけでもありません、はいっ。

コメント (4)
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