緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

今年の抱負2019(5)

2019-01-26 21:24:17 | 音楽一般
3.ギター

昨年のギターに関わる趣味活動は、マンドリン合奏に主軸を移したためか、あまり熱心ではなかった。
しかし毎年聴き続けているスペインギター音楽コンクールや東京国際ギターコンクールは昨年も行くことが出来た。

昨年で印象に残っていることでは、まず1982年の第36回エジンバラ音楽祭でジュリアン・ブリームが弾いた、マイケル・バークリーのギター曲での代表作「一楽章のソナタ(Sonata in One Movement)」のライブ録音をYoutubeで見つけたことだった。

Julian Bream plays Michael Berkeley Sonata in One Movement (1982)


この録音は1983年か1984年頃だったか、兄がFMラジオから録音したカセットを聴かせてもらって何度も聴いていた。
理解が極めて困難な、というほどではないが現代音楽の部類の楽曲で、聴くうちに惹き込まれた。
惹き込まれたもう一つの理由は、ジュリアン・ブリームの生演奏が非常に優れていたことである。
完璧な演奏である。
この時代のブリームは絶頂期だった。
まだ交通事故で大怪我を負う前だったが、1970年代後半から1982年までのブリームの演奏はとにかく素晴らしい。
この「一楽章のソナタ」の生演奏を聴いて、ジュリアン・ブリームというギタリストの音楽演奏の正確性、わずかのごまかしのない誠実さ、譜読みの確かさ、高次元の音楽表現、高度なテクニックなど、を思い知らされた。
同じギターの巨匠であるナルシソ・イエペスは録音は精緻で完成度の高いにもかかわらず、コンサートでの生演奏ではやや雑な面を感じた。

ジュリアン・ブリームはリュートなどの古楽器を使用してのバロック時代の音楽から、難解な無調の現代音楽まで膨大なレパートリーを残した、真に偉大なクラシックギターの巨匠であると断言できる。

次に印象に残っているのが東京国際ギターコンクール本選。
昨年の東京国際ギターコンクールは例年に比べつまらなかったと感じたのであるが、やはりクラシックギターの1年を締めくくる最大のイベントであることは間違いない。
昨年12月に書いた記事を見ると、本選出場者のうち、4番目に演奏した韓国のJi Hyung Parkさんに私の自己評価では1位を付けていた(実際は4位)。
記事の中で私は「4位の韓国の出場者は、楽器をフルに鳴らしており、非常に強く芯のある音が出ており、今までこのコンクールで聴いた出場者の中では最もダイナミックな音だった。」と書いていたが、ときにパワフルさを強調しすぎて雑な表現はあるものの、いままでの奏者にない、聴き手の奥底まで届くほどの説得力ある音を出し切っていたと感じ、今後の将来性を考えると1位になって欲しかった奏者であった。

今日、図書館で「現代ギター2月号」の東京国際ギターコンクールのレポートを立ち読みしたが、意外にも、6人の審査員のうち3人がこのJi Hyung Parkさんを1位にしていた。
1位にした審査員は、ピアニストの三船優子、チェリストの堀亮介、ギタリストの小原聖子の各氏。
総得点もJi Hyung Parkさんが最高得点。
この東京国際ギターコンクール本選は増沢方式と呼ばれる採点方式を採用しているが、総得点が最高であってもかならずしも1位にはならない。
最終評価点で、Ji Hyung ParkさんはイタリアのCarlotta Daliaさんと同一得点で並んだのであるが、「増沢方式により各審査員がどちらかを上位にしているかを選考したが、これも同点となったため、審査員長、小原聖子の結果を除き選考致しました。」という何とも煮え切れない苦しい釈明にだったことが分かった。

また意外にも1位にしなかった審査員の作曲家、猿谷紀郎氏はJi Hyung Parkさんの課題曲、武満徹作曲の「森のなかで」の演奏を絶賛していた。
Ji Hyung Parkさんは2年前の2016年の東京国際ギターコンクール本選にも出場を果たしており、この時も私は白寿ホールで聴いたのであるが、私の自己評価では1位だった(実際は3位)。

「2016年(第61回)東京国際ギターコンクールを聴く」

この時の課題曲は武満徹の「すべては薄明のなかで(All in twiligtt)」で、この課題曲の演奏で最も素晴らしかったのはJi Hyung Parkさんであった。

昨年の東京国際ギターコンクールは第1位が該当者なしだったが、第2位の奏者は正直言うと、無難でまとまってはいたが、インパクトに欠ける、平板な演奏だった。印象が薄い。

国際コンクールでは、奏者の将来性を見据えて評価して欲しい。
披露された「演奏」の枠組みだけで判断しないで、もっと先の将来性、潜在的な能力を見抜いて順位を決めてもらいたいものだ。

さて今年の抱負であるが、録音を少しずつでも残していければな、と思う。
広く人様に聴いて欲しいと思うほどの野心ぎらぎらではないが、自己満足で楽しむほどほどの出来であればいいところかな、と思う。
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