こんばんは。
前回のブログではギターの弾きやすさを阻害する要因であるネック反りについて
その原因を考えてみました。
今日は反ったネックを修理する方法について、私のギターの修理経験や、専門家
から聞いた話などをもとに紹介したいと思います。
ネック反りの修理方法は概ね以下の4通りがあります。
①ホットプレス(熱処理)による修正
これは、ネックに熱を加え、ネックと指板の間の接着剤(膠)を緩ませてプレス機
でストレートに固定し再接着する方法で、費用は1万円程で一番安い方法です。
この修理方法をアイロンと言う人もいます。
ただし時間が経つと元に戻ってしまうことがあるのと、楽器に熱を加えるのでダメ
ージを心配して薦めていない楽器店もあります。
②フレットを抜き、指板を削って平らにしフレットを打ち直す方法
費用は5万円ほどですが、①よりも再発しにくい方法です。デメリットとして、
指板を含めたネックの厚みが若干変化することです。
③フレットを抜き、熱処理でストレートにした上で、新しいフレットをきつく打ち
込む、または太いフレットを打ち込む。
この方法は経験したことがありませんが、一番いい方法ではないかと思います。
ただし修理できるところは限られていると思います。私の知っている限りでは、東京
目白のギタルラ社や製作家の桜井さんからこの方法を聞いたことがあります。費用は
②と同等か若干プラスとなるでしょう。
④指板の継ぎ足し・張替え
前回のブログで紹介したホセ・ラミレスⅢ世の最盛期の時代のギターのように
弦高が異常に高いうえに順反りしているような場合、①~③の方法ではもはや
求める弦高まで下げることが出来ないので、最後の手段としてこの方法がとられ
ます。
指板の継ぎ足しは、フレットを全て抜いて指板をかんなで途中まで削り、その上に
新しい指板を乗せて接着して指板全体の高さを上げて、弦とフレットの距離を短く
します。
指板の張替えは指板に熱を当てて接着剤を緩ませ、指板を完全に剥がし、ネック
の反りを矯正したうえに、背の高い指板を代わりに貼り付ける方法です。
費用は相当すると思われます。高い技術を要する修理なので、修理経験が長く豊富
な人に頼んだ方が良いでしょう。
①を初めて経験したのは以前ブログで写真を載せた田中俊彦ギターのネックが順反り
しており、サドルを低くしても弾きにくかったので、修理に出しました。30年近く
前のことです。費用は3千円でした。
しかし修理から戻ってきたギターのネックを見るとわずかしか順反りが矯正されて
いませんでした。そしてあっという間に元の状態に戻ってしまいました。
その後10年近く経って再度別の店に修理をお願いしました。今度は完璧にストレー
ト状態で戻ってきました。弦のびりつきも無く、修理する前に比べ比較にならない
ほど弾きやすくなっていました。費用は1万円のところ確か8千円にしてくれた
記憶があります。
このギターはそれから程なくして別のギターを買ったために、弦を緩めた状態で
ケースの中に保管することになりましたが、順反り状態に戻ってはいません。
他のギターもこの方法で順反りを直してもらったことが数回ありますが、元の順反り
状態に戻ってしまったギターもあります。順反りしてから長期間経過したギター
ほど元に戻りやすいかもしれません。
なのでこの方法は100%完全に順反りを直す方法とは言えないと思いますが、
費用が安く、指板を削ることも無いのでやってみる価値はあると思います。
ただ修理を頼む際には、この方法を数多く経験した方にお願いした方が良いで
しょう。
②の方法は1度だけやってもらった経験があります。この方法は順反りの再発の
可能性は熱処理に比べ低くなりますが、フレットを全部抜いてしまうので、フレット
がオリジナルでなくなってしまいます。
また指板を削るので指板の厚さが薄くなることです。指板を削るのが嫌な人は
避けた方が良いと思います。
④はホセ・ラミレスⅢ世のギターにおいて、結構やられているようです。
弦高が6弦で5.5~6mmは異常です。自分もこのギターを持っていますが、
ミス・タッチ、びりつきが頻発します。また押弦に力が要るので左指や左肘に力
が入り、指や肘を痛めやすくなります。
サドルを限界まで下げれば1mmくらい弦高を下げられますし、実際に試したこ
とがありますが、音が全然変わってしまいました。張りや力強さが無くなってし
まいます。
ラミレスの音の力強さ、豪快さは664mmという弦長だけでなく、この異常な
弦高の高さに起因しているのではないかと思います。
いつか④の方法で指板をかさ上げし、音はそのままで弾きやすくしたいと考えて
います。
前回のブログではギターの弾きやすさを阻害する要因であるネック反りについて
その原因を考えてみました。
今日は反ったネックを修理する方法について、私のギターの修理経験や、専門家
から聞いた話などをもとに紹介したいと思います。
ネック反りの修理方法は概ね以下の4通りがあります。
①ホットプレス(熱処理)による修正
これは、ネックに熱を加え、ネックと指板の間の接着剤(膠)を緩ませてプレス機
でストレートに固定し再接着する方法で、費用は1万円程で一番安い方法です。
この修理方法をアイロンと言う人もいます。
ただし時間が経つと元に戻ってしまうことがあるのと、楽器に熱を加えるのでダメ
ージを心配して薦めていない楽器店もあります。
②フレットを抜き、指板を削って平らにしフレットを打ち直す方法
費用は5万円ほどですが、①よりも再発しにくい方法です。デメリットとして、
指板を含めたネックの厚みが若干変化することです。
③フレットを抜き、熱処理でストレートにした上で、新しいフレットをきつく打ち
込む、または太いフレットを打ち込む。
この方法は経験したことがありませんが、一番いい方法ではないかと思います。
ただし修理できるところは限られていると思います。私の知っている限りでは、東京
目白のギタルラ社や製作家の桜井さんからこの方法を聞いたことがあります。費用は
②と同等か若干プラスとなるでしょう。
④指板の継ぎ足し・張替え
前回のブログで紹介したホセ・ラミレスⅢ世の最盛期の時代のギターのように
弦高が異常に高いうえに順反りしているような場合、①~③の方法ではもはや
求める弦高まで下げることが出来ないので、最後の手段としてこの方法がとられ
ます。
指板の継ぎ足しは、フレットを全て抜いて指板をかんなで途中まで削り、その上に
新しい指板を乗せて接着して指板全体の高さを上げて、弦とフレットの距離を短く
します。
指板の張替えは指板に熱を当てて接着剤を緩ませ、指板を完全に剥がし、ネック
の反りを矯正したうえに、背の高い指板を代わりに貼り付ける方法です。
費用は相当すると思われます。高い技術を要する修理なので、修理経験が長く豊富
な人に頼んだ方が良いでしょう。
①を初めて経験したのは以前ブログで写真を載せた田中俊彦ギターのネックが順反り
しており、サドルを低くしても弾きにくかったので、修理に出しました。30年近く
前のことです。費用は3千円でした。
しかし修理から戻ってきたギターのネックを見るとわずかしか順反りが矯正されて
いませんでした。そしてあっという間に元の状態に戻ってしまいました。
その後10年近く経って再度別の店に修理をお願いしました。今度は完璧にストレー
ト状態で戻ってきました。弦のびりつきも無く、修理する前に比べ比較にならない
ほど弾きやすくなっていました。費用は1万円のところ確か8千円にしてくれた
記憶があります。
このギターはそれから程なくして別のギターを買ったために、弦を緩めた状態で
ケースの中に保管することになりましたが、順反り状態に戻ってはいません。
他のギターもこの方法で順反りを直してもらったことが数回ありますが、元の順反り
状態に戻ってしまったギターもあります。順反りしてから長期間経過したギター
ほど元に戻りやすいかもしれません。
なのでこの方法は100%完全に順反りを直す方法とは言えないと思いますが、
費用が安く、指板を削ることも無いのでやってみる価値はあると思います。
ただ修理を頼む際には、この方法を数多く経験した方にお願いした方が良いで
しょう。
②の方法は1度だけやってもらった経験があります。この方法は順反りの再発の
可能性は熱処理に比べ低くなりますが、フレットを全部抜いてしまうので、フレット
がオリジナルでなくなってしまいます。
また指板を削るので指板の厚さが薄くなることです。指板を削るのが嫌な人は
避けた方が良いと思います。
④はホセ・ラミレスⅢ世のギターにおいて、結構やられているようです。
弦高が6弦で5.5~6mmは異常です。自分もこのギターを持っていますが、
ミス・タッチ、びりつきが頻発します。また押弦に力が要るので左指や左肘に力
が入り、指や肘を痛めやすくなります。
サドルを限界まで下げれば1mmくらい弦高を下げられますし、実際に試したこ
とがありますが、音が全然変わってしまいました。張りや力強さが無くなってし
まいます。
ラミレスの音の力強さ、豪快さは664mmという弦長だけでなく、この異常な
弦高の高さに起因しているのではないかと思います。
いつか④の方法で指板をかさ上げし、音はそのままで弾きやすくしたいと考えて
います。
「お好みで取り払って、弦高を調節してください。」と言う意味です。
「音を柔らかくするためだ」という誤解がありました。
ちなみに、フレドリシュは、何種かの厚さの物をくれますよ。単に弦高調節の為です。
私が持っているラミレスⅢ世の10弦も、ナットとサドルに敷板が入っていました。1990年製です。
確かラミレスⅢ世の著作にもそのことが記載されていたはずですよ。
また製作家の尾野薫さんが、サドルの下に敷く薄い木の敷板を作ってくれたことがあります(楽器は他の製作家のものでしたが)。
以前、チタン製の敷板をサドルの下に入れて試したことがありましたが、これは相性が悪かったですね。