世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

肩越しに見えたオリオン座

2007年01月04日 23時21分33秒 | Weblog
彼の肩越しに見えたオリオン座。

彼の体温を感じつつ、オリオン座を形成している中で一番強く輝く星を眺めた。
…正月二日目のあの夜。
この恋がどうなるにせよ、私はこの星を見る度に今夜のことを、そして彼のことを思い出すのだろうと、静かに確信した。

あれから数年が経過した。

2007年1月4日。
今日。
仕事初めから残業。
悴む指を擦りながら、夜空を眺める帰り道。

やっぱり私は、あの星を見ると彼を思い出す。

あの時のまま、変わらぬ強さで揺らめく星は、寒さで悴む心をほんの少しだけあたたかくしてくれる。
「自分にもあんなことがあったっけ」の「あんなこと」の回想録は、私にとって生きるためのビタミン剤。
疲れると、現実よりも甘美な思い出をそっと取り出して舐める。

結局、素直になれなかった、いや素直すぎる私から、彼はマッハゴーゴーな早さで去っていった。
きっとあの星の向こうへ行ってしまったのだろう。
たまに彼から来るメールは、宇宙からのメッセージなのかもしれない。

素直になれない私はあの日よりももっと素直じゃなくなり、
素直な私はあの日よりももっと素直になった。

普遍性を秘めている星の輝きとは対照的に、日々変わりゆく私。

もうすぐ、あの思い出の置き場がなくなる。
そんな気がする、冬の夜。

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