世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

いたづら

2005年04月12日 22時45分39秒 | Weblog
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに

小野小町の歌。
百人一首の中でもポピュラーな一首であろう。
歌意は
「春の長雨が降っていた間に、櫻の色はむなしく色あせてしまった。
私の容姿もすっかり衰えてしまった。もの思いをしていた間に」

色あせる櫻に寄せる人生の衰えの哀感が伝わる。
今日、雨に濡れて彩を失い始めた櫻を見ていたら、自然とこの一首が思い出された。
っていうか、櫻の晩期を見ながらこの歌を思い出すっていう人
…日本中にたくさんいるんだろうな。





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下町 銭湯論

2005年04月12日 01時51分10秒 | Weblog
たまにはいいかな。

重い腰を上げ、タオルやシャンプー、メイク落し等を用意する。
急に思い立ち、近場の銭湯に行くことにした。

自宅から徒歩50秒の場所に「玉の湯」という銭湯がある。
近代的な「河童天国」とは違い、昔ながらの下町銭湯である。

販売を仕事にしていた頃は、自分で売上目標を作り、
達成したら玉の湯に行く…という自分へのご褒美を設けていた。
現在、仕事に於いて数字のような目に見える目標はない。
当時に比べるとすっかり足が遠のいてしまったが、
今日のように気まぐれで行くことがある。

靴箱に靴を入れ、下駄札を抜く。
番頭さんに料金(東京都は400円)を払い脱衣場へ。
これだけで「ああ、下町の銭湯なんだわ」って感じる。
当然、壁に描かれた色彩豊かな富士山も拝める。
気持ちは、「てやんでぇ~!バロー!チクショー!」である。

今日は、私の他にお客さんは殆どいなかった。
足繁く通っていた頃、顔なじみのオバチャンたちとよく会話した。
「これ、良いのよぉぉ~」と、
オバチャンお薦めの化粧水(手作り)を
風呂上りにお裾分けしてもらったこともあったっけ。

個々の存在が、セルのような膜で隔離されている東京の人間関係。
でも裸になっちゃえば、そんな膜は意外に脆いものである。

無防備さが互いへの警戒心を与えるのではなく、
無防備であるが故、身軽になって自然体になれるのではないだろうか。


帰り道。
長湯して熱った頬に、霧雨を感じながら
そんな事を思った。

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