晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

平岩弓枝 『水鳥の関』

2015-04-26 | 日本人作家 は
平岩弓枝は「御宿かわせみ」以外の小説をまだ読んだことがなかった
ので、しかもこれは上下巻のそこそこ長編なので、もう読む前から
期待大。

東海道、浜名湖の西側、現在の静岡県湖西市にあった宿場、新居宿の
本陣、汐見家に生まれたお美也。
 
藩の重臣、遊佐家の跡継ぎと結婚し、男の子を産むも、夫が急死し、
「まだ若いのに未亡人として家に残るのはかわいそう」と、実家に
返されます。息子、清一郎は、嫡男なので遊佐家に残ったまま。

実家の本陣のお手伝いをしていたお美也でしたが、ある日、藩の武士
たちが本陣に泊まることに。そこで、お美也の亡夫の弟、清次郎と
久しぶりに会います。そこで、元義姉が離別させられて以来、子どもに
会ってないことを知った清次郎は、いつでも遊佐家に来て清一郎に
会いに来てください、と。

そうして久しぶりに息子と会うことのできたお美也でしたが、じつは
清次郎はひそかにお美也に恋心を抱いていて、お美也も息子のためを
思ったら清次郎と再婚するのがいいのではないかと思ったのですが、
これには義母が猛反対。そもそも離別させて親子はなればなれにさせた
のは、この義母がお美也を嫌っていたからでした。

そんな折、清次郎に江戸常駐の知らせが。しかも、お美也のお腹には
清次郎との赤ちゃんが。
これはなんとしてでも清次郎に会いに江戸まで行かなくては、とお美也は
遊佐家の親戚で前から相談に乗ってくれていた勝田家の奥方に頼んで、
勝田家が江戸に行くその女中の一人として紛れこんで連れてってほしい、
とお願いします。

新居宿にある関所は調べが厳しく、湖の対岸にある舞阪宿は距離にすれば
近いのですが、「入り鉄砲に出女」という言葉があるように、特に女性の調べ
はきつかったようで、通行手形の発行も申請に時間がかかります。
そこで、湖の北側にある、比較的調べがゆるい気賀の関を通ろうとしたのですが、
そこでお美也の親戚にあたる徳太郎に声をかけられて、お美也の江戸行き計画は
失敗。

徳太郎は舞阪宿の大店、浜松屋の息子で、お美也が嫁に来てくれることを
夢見てたのですが、お美也が武家に嫁いだことを知って別の女性と婚約する
ことに。ところがお美也が実家に戻ったと聞くとその女性と婚約を解消。
女性は狂言自殺をしますが、命は助かったものの、一生不自由な体となって
しまいます。

さて、江戸行きに失敗したお美也は別邸で女の子を出産します。千とせと
名づけ、江戸の清次郎に手紙を送るのですが返事はなく、徳太郎は責任を
感じているのかお美也のところに足しげく通い、それをたまたま訪れた
勝田の奥方に見られ、それからしばらくして、清次郎が勝田家に婿入り
したと知り、絶望したお美也は千とせを抱いて湖に入って・・・

これでまだ上巻の途中。ここからもまだ、これでもかこれでもかと
お美也に困難が襲いかかります。はたしてハッピーエンドで終わるのか・・・

読み終わって感じたことですが、悲劇のヒロインは往々にして、そっちを
選んだらみすみすアンタが不幸になるだけだよ!と端から見たら間違った選択を
しがちといいますか、文中でもお美也は「はあ・・・なんで私ってこうなんだろう」
といったようなニュアンスのつぶやきがあったりします。

まあ結局のところ多少強引な波乱の持っていき方だなと思っても、最後まで
夢中になって読んだのですから、これは作者の勝ち(笑)
コメント
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