やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

グレン・グールド

2007-05-17 | 音楽を


数日前でしたか、新聞の壱頁に、グレン・グールドの記事がありました。
今、また、グレン・グールドが脚光を浴びてゐるといふものでした。

ウム、と思って、またまた、彼の『ゴールドベルク変奏曲』を聴きました。
まさに、稀有の名録音です。

深い闇の中から、こぼれ落ちるひと筋のひかりのやうに始まる冒頭のアリア!
とてつもなくゆっくりとそれが拡散し、グルドの50分の宇宙が始まる。
そして、いつものやうに、その磨きぬかれたピアノの音と共に、グールドのハミングともうなり声ともつかない彼の声が、何の遠慮もなくディスクに収録されてゐる。
そして、早いパッセージの演奏の、転がるやうな音色の何と美しいこと!

まう、この演奏には、バッハの後ろ姿さへ消へてゐる。

あるのは、グレン・グールドといふ、夏でも厚手のコートや手袋を身に付け、一切の公開の演奏活動を拒否し、ひたすら自らの演奏にひきこもってしまひ、この録音(1981年)を辞世の歌のやうに、人生五十年で逝ってしまった天才の絶対の自信と、聴く者への問ひかけだけー。

グールドの演奏は、同じバッハの『フーガの技法』やモーツァルトのソナタのやうに、聴く者を見事な肩透かし(猫だまし?)で済ませてほくそゑんでゐるやうな録音もありますが、彼流のユーモアなのでせう。

けれど、きっと、低い椅子に座し、猫背のやうに身体を窮屈にさせながら録音されたバッハの(小生は、彼のバッハとモーツァルトとベートーヴェンしか聴いてゐませんが)どれもが聴くたびに新鮮に聞こへるのは、その本質を突いてゐる演奏だからに違ひありません。

グールドの演奏の一部が聴けるサイトがありました。こちらです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿