やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ヘブラーのモーツァルト

2016-03-07 | 音楽を

ひと頃(結構前ですがー)、女性ピアニストでモーツァルト弾きといへば、イングリト・ヘブラー、でした。

勿論、リリー・クラウスなんて方もをられました。
勿論、クララ・ハスキル(なんてチャーミングな名前でせう!)の、マルケヴィッチとの20番の協奏曲やグリュミオーとのデュオは、小生の中でも最愛のCDです。およそハスキルの演奏してゐたCDはほとんどあるはずで、深く、でも軽妙なモーツァルトは小生にとってひとつの指針でもあります。

ヘブラーの演奏では、協奏曲の全集が棚のなかにありますが、すこやかでケレン見のない演奏は好ましいのですが、バックのオーケストラのなんとなく野暮ったい感じと、インパクトの少ない演奏ゆゑ、日常聴く事は少なくなってゐました。

でも、このモーツァルトは、とても素敵でした。

モーツァルト: ピアノ・ソナタ 第9 (8) 番 イ短調 KV310(300d) イングリット・ヘブラー 1986


モーツァルトのピアノ・ソナタのなかで唯一の短調ゆゑ、悲劇的に激しくかたち作る演奏が多い中で、このさりげない姿は如何ばかりでせうー。
まるでお洒落な和食の膳のやうに、凛とした姿で、でもこまやかなところまで気持ちがこもった奥ゆかしい演奏です。

歳のせゐか、疲労のせゐか、最近はこんな演奏がこころに沁みてきます。








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