過日、七五三掛の桜を見に伺った湯殿山注連寺は、また、庄内三十三観音の札所のひとつでもあります。
森 敦氏の『月山』で一躍有名になった、大網地区の古寺、です。
このお寺にも、即身仏は座してゐるやうです。
寺の詳細は、小説のなかに見事に描写されてゐますが、また、境内には森氏にまつはる建物も建ってゐましたが、遙かに望む月山の姿が色々なものを雄弁に物語ってゐたやうな気がします。
森氏が小説を書いたとされる紙の蚊帳は見たかったのですが、伺った時は、念仏の日なのか、何かの講の日なのか、ひきもきらず善男善女が堂内に入ってゐましたので、それらの方は桜を愛でることもなかったやうでしたが、小生は桜のみでいとましました。
それでも、この屈指の雪深い里で、信仰とか祈りといふものが、きはめて普通に息づいてゐる空気が伝はってきます。
百年ほど経ったお寺のやうですが、冬は数メートルの雪に埋もれるだらうその建物は、まさに痛みに痛み、けれど、まるで木材の繊維だけになってでも生き延びてやる、といはんばかりの凄みのあるものでした。
お寺のHPがありました。こちらです。
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