やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

変遷

2013-10-07 | 書棚のジャズアルバムから
溜まるばかりのCDに、収納棚はとっくの昔にパンクし、いまは平積みの山が増えつつあります。
それらをじっくり聴く時間も少ないので、通勤の途中で片端から聴いてゐます。

先日、ふと目に留まったコルトレーンの、ニューポート・フェスティヴァルでの演奏を車のなかで聴き始めたら、仕事場の駐車場に着いても身体が動かなくなってしまひました。

どの曲も素晴らしいのですが、身体を縛り付けたのは、やはり、「My Favorite Things 」でした。

長い長い下積みの生活や、すでにスターだったマイルス・ディビスに”下手くそ!”と罵倒されながらの末に、1950年代末、なんとか自らのグループを持てだして数年ー。
コルトレーンの演奏にいきなりギアがはいります。

それらの中の名盤の一枚が『My Favorite Things 』です。
(はるかに昔、結婚前、付き合ってゐた女性と破綻状態になって、それでも最後の話をしたことがありました。色々な事情から、回復不可能になってゐて、逢ふのはこれが最后と思ったとき、女性の話す言葉と声に混ざって、何故かMy Favorite Things のアドリブが冴え冴えと頭のなかに聞こへてきたことがありました、っけー)

『サウンド・オヴ・ミュージック』で爽やかに歌はれたこの曲を、コルトレーンは、残りの短い生涯で繰り返し繰り返し取り上げて、そして、変遷させてゆく。


鳥のさへづりのやうに圧倒的に美しいアドリブの1961年の録音ー。




コルトレーンの全てのMy Favorite Thingsのなかでもっとも素晴らしいといはれてゐる、1963年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルでの強く、勁 く前に驀進する演奏ー。




そして、5年の年月とは思へないほどに変貌し、すでに原型を失ひ、ただただ、闇に中へ、混濁の中へ、カオスの中へ突き進まうとする1966年来日時の聞くのもツライ演奏ー。
ライヴとはいへ、10数分だった曲は、一時間の修羅場に近い演奏に変貌してゐる。

ただその、凡庸な小生の理解や共感を拒むやうな変貌ぶりは、ジョン・コルトレーンといふ人間が、いちサックス奏者でもなく、いちジャズ・メンでもなく、紛れもない偉大な芸術家であり、また彼の最晩年の言動のやうに、偉大な活動家であった証左なのかもしれません。




















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