『桜が創った「日本」』(佐藤俊樹著/岩波新書)といふ本を読みました。
副題にあるやうに、ソメイヨシノの起源を探るものでしたが、小生が余り好まない(本文中にも、その短絡的な反応の仕方を注意されてゐましたが)染井吉野の悲しい性ともいへる存在について面白い展開でした。
特に、クローンとしてのソメイヨシノの生命体の弱さを、逆に人間社会を含んだ生態系のなかで生きることで日本列島の桜を席捲してしまった逆の強さや、江戸の末期に生まれたとされた新種の桜が、明治といふ新しい時代の中で、国家とともに全国に広まっていったといふ考えは(いはゆる標準語も同じパターンですが)面白く読みました。
特に、靖国神社の前身であった東京招魂社が戊辰戦争の官軍側!の戦没者の御霊を祀る場所であり、東京発信のソメイヨシノもそのあたりからきてゐるらしい、といふくだりは、戊辰戦争の賊軍側!に住む人間にはかなり面白いテーマになります。
とまれ、大雪のあとの今年の春、さて、何処の一本桜を見にゆくことになりませうか?
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