やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
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ルプーのシューベルト

2007-10-28 | 音楽を


                                

ラド・ルプーのシューベルトといへば、即興曲集の演奏が素敵でした。
あの、今にも壊れさうな線の細い、けれどガラス細工のやうなピアノの演奏が、一曲めからルプーの世界へいざなひます。
(その、余りのか細さゆゑ、いや、シューベルトは、あんなにひ弱ではなかったハズだ、といふ批判もありますがー)

その、ルプーで、シューベルトのピアノ・ソナタを何曲か聴く。
ピアノ・ソナタ№14、№16、№18、№20。
1970年代半ば、ルプー30歳前後の録音。
確かに、批判を甘受するやうな、細い演奏です。
そして、そもそも、中期のソナタ自体が構成の弱い作品です。
ベートーヴェン的な世界を志向しながら、しかしけれど、作品はいったいどこに向かふのか不明のやうに、詩的なメロディと強打を繰り返す。

最期の三曲のソナタの一曲№20になって、シューベルトは吹っ切れたやうに、ベートーヴェン指向から決別し、自らの世界へむかふ。
ルプーの演奏も、やはり№20のそれがいちばん素晴しいと思ふ。
終楽章、いつ停まるともしれない軽やかな演奏が、聴く者のこころまでも安らかにしてくれます。

(ルプーの写真は、ジャケットから)


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