やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ハイティンク、といふ生き方ー

2012-02-27 | 音楽を
ハイティンク リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲 1/2


コンセルトヘボウ管弦楽団のよい演奏はないかしらん、と探してゐたら、驚喜! ハイティンクの数ヶ月前のライブの模様がありました。

勿論、コンセルトヘボウでの(何と堂々として、何と美しいホールか!)演奏です。
演目は、R・シュトラウスの”アルプス・シンフォニー”。

解説を読んで、なるほど、ハイティンクはすでに80歳を越えてゐたことに驚く。
指揮姿を見てゐて、でも、もしかしたら、今が一番素晴らしい顔になってゐることに感動する。

ベルナルト・ハイティンクといふ指揮者は昔から好きで、1974年、初めてハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の組み合はせで来日した時の演奏の模様のテープがまだ棚に存在してゐて、マーラーの4番だったと思ひます。

”アムステルダムの宝”と敬はれてゐるこのオーケストラの慣例として、オランダ出身の指揮者を常任にする過程で、当時、ハイティンクは30数歳の異例の若さで名門オーケストラの指揮者になりましたが(ただ、余りにも若いので、オイゲン・ヨッフムが後見人といふ体制でしたがー)、余りにも荷は重かったのでせう。

マーラーやブルックナーの全集を作ったりもしましたが、さほどパッとせず、彼の力量が現れはじめたのは、80年前後からだったでせうか。
つまり、60歳前後といふことですかー。

でも、小生の棚には彼のパッとしないころのCDも結構ありまして、チャイコフスキーの5番や、シューベルトの9番(今は、8番ですかー)などは、ケレン身のない演奏で、今もってとても好きです。

今から数ヶ月前だといふ演奏を見てゐると、昔から本当に無骨な指揮ですが、まうすでに子供や孫の世代が多い、一度は離れたかつてのマイ・オーケストラをまるでいつくしむやうに、そして、楽員は畏敬の念をもって演奏してゐる、本当に素敵な姿が見られます。

派手ではないけれど、無骨だけれど、ハイティンクここにあり、といふ存在感を、50年近くの歳月をかけて、ゆっくりと築き上げてきた彼の職人姿に感激します。