やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

『金輪際』

2010-03-16 | 本や言葉


車谷長吉氏の『金輪際』といふ小説集を読む。

名作『赤目四十八瀧心中未遂』を読んで以来です。
(映画化されたものは、一寸後半が冗長でしたが、韓国人役をこなした女優、寺島しのぶさんの存在感は見事、です)

最近、朝日新聞の土曜版だったか、妙な人生相談のコーナーがあって、回答者のひとりが車谷氏で、本当に妙なコーナーで、その回答には一筋の光を当てるでもなく、否むしろ、人生やめた方がよいですよ、早く死んだ方がよいですよ、みたいな回答ばかりで、でもその飄々とした視線を小生はとても面白く読んでゐました。

そして、小説集もそのままの視線のもので、戦前の小説のやうな、夢も希望も、倫理も純粋もないやうな世界が繰り広げられてゐる。
そして、その地獄曼荼羅のやうな世界が、とても面白い。
病み付きになるやうな世界、です。