トッド・ラングレン&ユートピア名義で、76年に録音されながらも公式には未発表だったアルバム
「DISCO JETS」(掲載写真左)がリリースされた。その名の通り、全編これディスコ・ミュージックというか、
わかりやすいリズムのインスト集で、録音が完了したもののベアズヴィルから発売を拒否された
アルバムである。
私が「DISCO JETS」の存在を知ったのは、01年にリリースされたTODD ARCHIVE SERIESの
第四弾である2枚組CD「DEMOS AND LOST ALBUMS」(掲載写真右)に収録されたのを
聴いたことによる。今回、単独で発売された「DISCO JETS」の全曲が収録されていて、曲順も
変わっていない。
一聴して、「う~ん。これ、トッドの名前が無かったら喜んで聴くだろうか」と思ったのだが
実のところ、今回もその印象は大して変わっていない。フィリー・ソウル・メドレーやマーヴィン・ゲイ・メドレーを
スタジオ盤やライブで披露しているトッドだが、いくらソウル・ミュージックに造詣が深いといっても、
或いはビートルズのパロディーをやる前にディスコ・ミュージックを大真面目にやって遊んでみたと言っても
その余りに記名性の無い音に違和感を感じたのだ。
レコード会社からしてみてもトッドもしくはユートピア名義じゃ、きつい内容だし覆面バンドのアルバムとして
リリースしたら、喰いつきが悪いだろうしという考えがあったのは想像に難しくない。
ただ、それは「トッド・ラングレン」という名前故にハードルが高いという話であって、腰を据えて聴けばそれほど
つまらないアルバムでもない。
実際、面白い曲も幾つかある。『STAR TREK』は、その名の通りスタートレックのメイン・テーマなのだが
この曲は我が国では、あの「アメリカ横断ウルトラクイズ」で使用されたので、メロディーが流れてくれば
思わず笑みもこぼれるというものだ。『PET ROCK』はパーラメントのような盛り上がりをみせる、ディスコという
より、ファンクな曲調に盛り上がること必至。
『SPIRIT OF '76』はアメリカ国家をアレンジし、そこに誰もが聴き覚えのあるメロディーの『YANKEE
DOODLE』(『アルプス一万尺』のほうが通りがいいだろう)や『THE BATTLE HYMN OF THE REPUBLIC』
(『お玉じゃくしは蛙の子』の替え歌と言えばわかりやすいか)を混ぜ込んだ楽しい仕上がり。
あっそうか、76年はアメリカ建国200周年でもあったのだからトッドは何としても、この曲を当時、
世に出したかったに違いない。
ロック好きよりも、ソウル好きが聴いたら、その白さ故の微妙な感覚を面白いと受け取ってくれるかも
何て思うのだが、どうだろう。あっ、因みに私が今回の単独アルバムを買った理由は、ズバリ、ジャケ買いです。
土星とか木星のデザインというか造形は、何であんなに素敵なのだろうと常々思っているもので・・・。(笑)