あれは私が大学2回生の時だったろうか。
「パリの散歩道」ならぬ、大学の東門を通って近くの飯屋に行く道すがらの話。
ハードロック好きの先輩と、後輩のWYATT君が何やら話をしていたのだが、ふいに前を
歩いていた私に先輩が問うてきた。
「おい、ハリー、LIVE IN JAPANの中で何が一番ええ曲じゃと思う?。」
今思い出しても、あの岡山訛りは強力だ。
極めて乱暴な質問である。なぜなら「LIVE IN JAPAN」とだけ、いきなり言われて
それを即座にディープ・パープルのライブ盤と解釈した上での答えを求められているのだから。
まあ、日本で録音されたライブ盤で当時の私の知識の中にあったのはボブ・ディランと
チープ・トリックくらいだから、すぐさまパープルの盤だと解釈したのだけれど。(笑)
私は約1,8秒の間をおいてこう答えた。「『SPACE TRUCKIN'』じゃないですか。」
先輩は我が意を得たりという表情で笑いながら「そうじゃろ、そうじゃろ。」とWYATT君の
方を見てこう言ったのだが、本当のところは私は1,8秒の間に『HIGHWAY STAR』と
『SPACE TRUCKIN'』を天秤にかけ、そう答えたのだ。どうも『HIGHWAY STAR』を
推すWYATT君と『SPACE TRUCKIN'』を推す先輩との間で見解が相違したために、
私に意見を求めたようだ。
まさか、私の後ろを歩く二人がそんな会話をしていたとは露知らず、その事実が可笑しくて
私も笑ってしまった。
1985年の晩秋の会話として、実に洒落ているじゃないか。(笑)
もし、私が『STRANGE KIND OF WOMAN』とか言ったら、話がややこしくなったのだろうな。(笑)
「LIVE IN JAPAN」はディープ・パープルの、どのスタジオ盤よりも数多あるライブ盤よりも
数多く聴いた。緊張感あるいいライブだなあと思っていたのだが、93年に3枚組の拡大版が
出た時は驚いた。
掲載写真左の拡大版を聴いて、最初に出た2枚組のLPは、3公演の中から実に的確な
バージョンを選んでいるのがわかったのと同時に、実は「HIGHWAY STAR」の後に演奏されたのは
「CHILD IN TIME」ではなく「SMOKE ON THE WATER」だったということにも驚いた。
レコードの収録時間の関係で、そういう入れ替えがあったのかもしれないが、完全後追いの
私には「HIGHWAY STAR」「SMOKE ON THE WATER」と続くのはあまりにベタな感じが
したので、レコードの並びの方がいいな、と思ったり。まあ、リアル・タイムで接した人には
単純に新譜である「MACHINE HEAD」から立て続けに2曲やったという印象なのだろうけど。
掲載写真右の「MADE IN JAPAN」のリマスターが98年に出た時は、3枚組で聞くことが出来ない
3曲が追加された。しかしながら、やっかいなことに、この2種のCDを買っても72年の日本公演を
制覇するには1曲欠ける。それが72年8月16日の「BLACK NIGHT」。
このシングル盤でそれを聴くことが出来たら世界に誇る
「お宝7インチ」になったのだけど、これは残念ながら75年に出た編集盤「24 CARAT PURPLE」から
シングル・カットされた17日のバージョンである。16日のバージョンは02年に出た5枚組の編集盤「LISTEN
LEARN READ ON」でしか聴くことができない。いつか買おうと思っているのだが今更感(笑)もあって、
まだ手に入れていない。
「LIVE IN JAPAN」はパープルの中でも別格で大好きなんだけど、本当のことを言うと・・・・。
この時代のボーカルのほうが好きなんです。(笑)