HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

SAILORS' TALES

2017-11-20 00:33:37 | ROCK

70年代のキング・クリムズンの諸作品を軸にした大型の組物は、これまでに4タイトルが
リリースされてきたが遂にその最終章ともいうべき組物が登場した。

掲載写真は「SAILORS'  TALES」と題された27枚組ボックス。「IN THE WAKE OF
POSEIDON」「LIZARD」「ISLANDS」の3枚のスタジオ・アルバムとライブ盤「EARTHBOUND」が収録され、
その時期の数多のライブやリハーサル音源で構成されている。

時期で言うと70年から72年の間である。この時期のクリムズンの評価というのは前後が
超絶すぎるので、それほど高くないというのが通り相場であろう。それでもダウンロードのみで
販売されていた音源のCD化を含めて、ここまでの音源がまとめられたのは嬉しい限り。

実際、この時期のライブを聴くと寒々しい場面に多く行き当たる。ボズの絶叫は悲痛な
感じすらするし、延々とエフェクト処理されたドラム・ソロが続くと私のような狭量な
聴き手には辛い。更にはメル・コリンズが吹くサックスの傍若無人な様も。しかし、これも
クリムズンであり、この時期ならではのレパートリーを聴くことができることの重要性が
失われることは全く無い。

多くのライブ盤を聴くと、あの「EARTHBOUND」が良いテイクを集めたことによる
より上手くコントロールされたライブ盤であることがよくわかる。ロバート・フリップを
しても制御不能であったライブにおける生き物としてのバンドを再確認するには
うってつけの組物であろう。この時期のブートレグをあまり手にしなかった私には
尚更である。

箱を手にする前にインフォメーションにあった「オーディション」音源が気になったのだが
延々と続くスタジオ・ジャムだったので拍子抜け。(笑)この部分だけ聴けばジャズ・バンドと何ら
変わらないのだが、そこからクリムズンの名の下の音へ変化するには、相当の苦労が
あったのかな、なんて余計なことを考えるのも一興。

ブルーレイ・ディスクにはCDに未収録の各種オリジナル・アルバムに関連するレア・
テイクが多数収録されている。各々のアルバムの40周年盤に添付されたDVDとの
聴き比べをするのが厄介だが、それくらい時間をかけなければ味わい尽くせない組物である。

今回も多くのメモラビリアが添付されてあり、おまけ好きとしては嬉しい限りである。
更にはこの箱には未収録の71年9月4日のハイド・パーク・フリー・フェスティバルでの
音源(6曲、約38分)をダウンロードすることができる案内もあり、至れり尽くせり。

現在進行形のクリムズンも面白いので、全く大変なのだが(笑)焦らず急がず今回の
組物と向き合いたいと思う。

コメント (3)
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