HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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THE GREATEST ALBUM YOU'LL NEVER HEAR

2015-10-07 00:29:35 | ROCK

掲載写真はブルーノ・マクドナルド著「幻のアルバム 失われた音を求めて」。
昔からそれぞれのバンドやミュージシャンの熱心なファンには、リリース予定が
ありながら、必要とされた時期に形にならなかったアルバムの存在が知られている。

例えばビーチ・ボーイズの「SMILE」、ザ・フーの「LIFEHOUSE」、ピンク・フロイドの
「HOUSEHOLD OBJECTS」等々・・・。本書はそんなアルバムを62枚取り上げ
発案から頓挫までの経緯と、その後どうなったかまでを記している。

先に例に出した盤だとビーチ・ボーイズ名義の「SMILE」は11年にリリースされ、
ピート・タウンゼンドは自身が書き加えた脚本を基にしたラジオ・ドラマやデモ音源を
6枚組にして00年に「LIFEHOUSE CHRONICLES」として世に出したのはご存知の通り。
ピンク・フロイドの場合は11年の「WISH YOU WERE HERE」再発時に1曲のみが
世に出た。

と、いう具合にこの手の未完のアルバムを62枚選出し、当時の曲目がわかるものは
それも記載されている。この本の素晴らしいところはミュージシャンが雑誌等のメディアに
喋ったことを丹念に拾い上げていることで、当時の経緯やバンド内の争いやアルバム
制作に対する温度差といったものが如実に伝わるのが読んでいて飽きないところ。

もっとも、私の興味の無いミュージシャンや年代もあるわけだが、そこは私が
もう少し(笑)経験値を積めばより本書を面白く読めるということなのだろう。

それにしても、私生活に問題を抱えていた時期もあったとはいえ、ニール・ヤングの
ムラっ気が一体何枚のアルバムを頓挫させたことか。今や大物ミュージシャンは過去の
アルバムのDX盤化に熱心なので当時のアウトテイクは小出しに開放されている
ケースが多い。それでも、ニールでいうところの「CHROME DREAMS」「HOME
GROWN」CSN&Yの「HUMAN HIGHWAY」、バッファロー・スプリングフィールドの
「STAMPEDE」といったところがその名称でリリースされれば、喜んで手にする
ファンは多いだろう。

著者は冷静にポール・マッカートニーの「COLD CUTS」にも触れていて、単体で
リリースされる可能性よりもボックスでの可能性を示唆している。もちろん、私も
それを期待するがボックスのタイトルは「COLD CUTS」でお願いしたい。(笑)

コアなファンになればなるほど「切り口が甘い」という意見もあろうが、一人の
ミュージシャンでなく数多くのミュージシャンに触れているということに価値が
ある。

まあ、個人的に無くてもよかったのは、「もしアルバムがリリースされていたら
こんなジャケットだった?」みたいなデザインが大きく誌面を割いていることである。
そういえば、あのグリンプスで取りあげられていたドアーズの「CELEBRATION
OF THE RIZARD」は掲載されていなかったなぁ・・・。

コメント (2)
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