HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

帰ってきた名盤探検隊

2013-05-06 09:07:12 | ROCK

       

98年から00年にかけてワーナー・ミュージック・ジャパンが敢行した「名盤探検隊」シリーズには
本当にお世話になった。スワンプ・ロックとかSSWとかに興味はあったのだが、それほど深入りできずに
いた当時の私にとって、次から次へと出てくるあのシリーズの盤はどれも新鮮で手にする度に新たな扉が
開いていったような気持ちになったのが懐かしい。世界初CD化の盤が多かったので日本以外の
国の需要もかなりあったのではないだろうか。ジェシ・デイヴィスの「ウルル」やデラニー&ボニーの
「モーテル・ショット」なんかは、その筋のファンには定盤だったろうが、世界初CD化の恩恵で
簡単に聴くことができるようになったのだから。

実際に聴き手の裾野を拡げるのに大きな貢献をしたシリーズだと思うし、例えばジョー・ママとか
ドニー・フリッツやエリック・カズとかの盤が、ある意味「定盤」レベルまで浸透した意義は大きい。
私個人としては、ボブ・ニューワース、ケニー・ヴァンス、エッソ・トリニダード・スティール・バンドと
いったところに手が届いたことが嬉しかった。
あれから13年、名盤探検隊が帰ってきた。正にウェルカム・バック、である。
とりあえず何枚か未所持の盤を手にしたのだが、その中から気に入った2枚を。

右はジャッキー・デシャノンが74年にリリースした「YOUR BABY IS A LADY」。72年の「JACKIE」は
かつてライノ・ハンドメイドからボーナス・トラック満載で再発されたものを愛聴してきたが、これは
未所持だった。前作「JACKIE」で聴くことが出来た南部の香りは薄れ、ここでは都会の幾分洗練された
音になっている。バックのミュージシャンや録音場所が変わると、こうも変わるのかという、私にとっては
良い意味での驚きをもたらした盤となった。自作曲が少ないので歌い手としてのジャッキーの魅力を
探るべき盤なのだろう。日本初CD化。

左はジェニファー・ウォーンズが73年にリリースした「JENNIFER」。プロデューサーは、ジョン・ケイル。
この盤を聴いて、私にやっと見えてきたのが「何故ジョン・ケイルの大傑作アルバムである「PARIS 1919」
にはリトル・フィートが参加しているのか」という長年の謎であった。この盤をケイルがプロデュースしたことが
レーベル契約の関係もあっただろうが、意外に思える人脈に繋がったのだなと今なら理解できる。

ケイルが提供したオリジナル曲『EMPTY BOTTLES』の出来がいい。自作曲は1曲のみで多くのカバーが
収録されていて中でも個人的に「おおっ」と思ったのがフリーの『BE MY FRIEND』。
実にソウルフルで、バック・コーラスとのバランスも抜群。というか何よりフリーを取り上げているのが
最高(笑)だ。世界初CD化。

今回取り上げた2枚の共通点は、どちらもオリジナル発売時には売れなかったということだ。
探検隊の再登場によって、広く聴かれるようになればいいなと思う次第である。

  98年の発足以降、毎月何らかのリリースをしていた名盤探検隊の
活動が一時滞ったのが98年12月から99年3月。このチラシは99年4月のもので久しぶりに登場した
探検隊の活動報告を記している。たった4ヶ月の空白だったが、今回は13年も空白があったのだ。

もう一度書こう。ウェルカム・バック。

コメント
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