掲載写真はパブ・ロックの括りで語られることが多いナイン・ビロウ・ゼロの
80年のアルバム「LIVE AT THE MARQUEE」。この前に1枚アルバムがあるが(私は
未聴)、A&Mからのメジャー・デビューはこの盤である。
ハーピストがメンバーにいるために、ハーモニカとギターの音が必然的に目立ち、
デビュー盤がライブ盤ということもあって、ヤードバーズを彷彿させる。
パブ・ロックの括りに相応しく、往年のブルーズやソウル・ナンバーのカバーを
多くレパートリーにしており、ロックを聴き始めて5年もすれば一度や二度は
聴いたことのある曲のオン・パレードで、初めて聴く人も知っている曲があるはずだ。
90年代以降の我が国では、ドクター・フィールグッドやインメイツにスポットが当たった時期が
あったが、ルー・ルイスやこのナイン・ビロウ・ゼロの注目の度合いが高まってもいいと
思うのだが、「なんでもお前の意のままに」はいかないと言われそうである。(笑)
今回のCDが初CD化ではないが、過去盤にはないボーナス・トラックが7曲(何れもライブ)
追加されている。尚且つ、DVDが添付されていて、マーキーでのライブが8曲収録されている。
動くナイン・ビロウ・ゼロを見るのは初めてだったので、これには魂消た。
パッと見のルックスはそれほどでもないかもしれないが、歌いながらリード・ギターを
弾きまくるデニス・グリーヴスの熱量は半端ではない。デニスと同じくフロントに立つ
ハーモニカのマーク・フェルサムの幾分クールな感じの対比がまた格好良い。
「NINE BELOW ZERO」というバンド名は
サニー・ボーイ・ウイリアムスンの曲名からきている。マディー・ウォーターズの『ROLLIN'
STONE』もいいが、こちらも激渋(笑)である。ナイン・ビロウ・ゼロからヤードバーズを想起するのは
ヤードバーズがサニー・ボーイ・ウイリアムスンとライブ・レコーディングを行っていたことが
頭の中に刷り込まれているせいかもしれない。
何にせよ、こういう音を聴き始めると棚から次々とCDを引っ張り出してきて収拾がつかなくなるのが
困り物だ。(笑)
LPや過去盤CDを所持している人も、このCD+DVDは早めに押さえておいた方がいいかもしれない