配信での音楽購入がここまで大きなものになるとは思わなかったが、パッケージとして
商品を手元に置きたい、という思いは私の中では以前より大きなものになりつつある。
人生の半分を過ぎたのだから、身の回りの物を少なくしていかなければならないのかも
しれないが、以前にも増してCDを買っているのだから間抜けと言われれば、そのとおりだ。
しかし。配信で手に入れた音楽を第三者に売ることは出来ないことを思えば、
私がくたばっても残ったCDやLPは何らかの形で換金できるので、これはこれで一つの蓄財の
手段である、なんてことを相方に言っては怒られる毎日。(笑)
「おい、このCD買取価格4000円だってよ。ここからここまでのたった10枚のCDを売ったら
50000円になるぞ。」
「どうせ、売らないくせに。そのうちクズ値になるのがオチや。」
今のところ、そのとおりである。(笑)因みに70年代のソウルの再発CDはすぐ廃盤になり
高値が付きやすい。(笑)
新譜でも再発CDでも何でもいいが、どれくらい売れるかというマーケティング・リサーチは
大切である。儲けはおろかペイしない枚数をプレスするほど間抜けなことはないからである。
ある程度の枚数が捌ける算段がたっても、次はその枚数をプレスする資金が必要になってくる。
最近はミュージシャンやその家族がHPでCDを売るのも珍しくはない。会社なら企画書でも通れば
予算計上ということになろうが、個人HPの場合はCDを制作する予算も自分で調達しなければ
ならないのだから、大変である。多く売れれば中間搾取(失礼)が無いから身入りも大きいだろうが
そう簡単に事は運ばない。
フランク・ザッパのHPでは現在、今までにない試みが行われている。
未発表の73年ロキシーでのライブ盤CDを$1000で販売し、買った人はそれを「マスター」と
みなして複製して販売することができるのだ。売上に応じて1枚あたり$1.2をロイヤリティーとして
ザッパHPに納めるというものだが、今までこんな例はない。確かに未発表の73年のライブは
聴きたいが$1000はあんまりだし、例え複製を許されても誰が買ってくれるというのだ。
レコード会社がこの行為をすることを許してはいないのだが、レコード販売店がこれを行うことに
関しては触れられていないので、ここは一つ赤黒あたりが乗り出してくれればいいのだが。(笑)
ザッパHPがこのような策をとったのはロキシーの映像をDVDにして販売するための資金稼ぎが
目的のようなのだが、何だかなぁという気がする。そんなに金がかかるのかという思いと、
DVD「クラシック・アルバムズ・アポストロフィー&オーヴァー・ナイト・センセーションズ」の
ボーナス映像の『MONTANA』の延長みたいなヤツじゃダメなの?そんなに大掛かりなの?
という思いがあるから。確かにちょっとしたトリートメントは必要なのだろうけど。
バッドフィンガーのピート・ハムのデモやスタジオ録音を集めたCDは今までに2種リリースされたが
また新しいCDがリリースされるようだ。
日本の再発企画でもよくあるのが、リクエストを募ってそれが一定数に達したら該当アルバムを
再発するという企画。少し趣は違うが、今回のピートのデモ集も一定枚数の予約が集まらなければ
リリースされないような感じである。いや、一定の金額と言ったほうがいいかもしれない。
50曲入り2枚組の予定で一般のレコード店では購入できないようであり、尚且つそのCDに
様々な付加価値がつくバージョンが幾つもある。
7インチ付き、ステッカー付き、リトグラフ付き、或いはそれらを複数組み合わせたもの・・・。
今時点では残り1セットだがCD代金プラス$500で「エグゼクティブ・プロデューサー」として
CDのブックレットに名前がクレジットされるというものもある。
CD発売にあたっての大口出資者という意味合いでクレジットされるのだろう。
今の時期、私には到底無理だが余裕資金があれば、出資したかも。(笑)
英語のページを斜め読みしたので正確な解釈でなければ申し訳ないが、7インチのデザインも
公募するようで、ファン思いというか「丸投げ」(笑)というか。
何れにしろ、金が集まらなければ発売されないというのだから、ここは何としても世に出て
欲しいものだ。私もお手頃な値段のヤツで購入を考えている。
興味のある方はピート・ハムのHPからリンク先に辿り着いてほしい。
それにしても。
世の中、銭である。銭があれば大抵のことは上手くいくのだ。
悲しくも残念だが。