HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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追憶のブートレグ61・ACT59 / ROGER McGUINN

2009-03-22 19:42:48 | ROCK
「楯は突きませんが、意見は申し上げます。」
人気ドラマ「相棒」で、水谷豊の新しい相棒となる及川光博が特命係に
配属された時のセリフである。こんなふうに言えれば格好いいなと
ドラマの中のみっちぃを羨ましく思ったものだ。
そんなに秀でた能力を持っているわけではないのに、私は上司とよく張り合たし
生まれながらの短気もあって仕事を3度辞めた。
そして、平成4年に今の仕事に就く。

「今度は辞めないようにつまらないことも我慢しないとな。」と
自分に言い聞かせたものの、今までの仕事で携わったどの人達よりも
人間的にダメなヤツらの集まりであることがすぐに解り、うんざりしたものだが
今回は辞めるわけにはいかない。あと5ヶ月で結婚するという事実が
目の前にあったからだ。今なら笑い話になるのだが、結婚の話がまとまった時点で
私は無職であった。まあ就職できるという目論見があったのだが、
今思えば間抜けな話だ。

就職したのが平成4年の12月。結婚するまでの5ヶ月を会社の寮で過ごした
のだが、駅から寮まで歩いて帰るその途中になんと赤黒チェーン店があった。
毎日寄ることになるのだが、毎日寄るということは商品の入れ替わりや滞留
状況に敏感になるということで、変わり栄えのしない陳列棚を見て
ため息をつく日々でもあった。そんな中で中古CD新入荷の棚に掲載写真の
CDを見つけた。

ロジャー・マッギンが91年に行なったライブを収録したもので、11曲が
良好な音質で収録されている。盤の裏を見ると知らない曲が大半を占めていて
私はロジャーが当時の最新アルバム「BACK FROM RIO」を発表していること
すら知らなかったのだ。ソロとしては77年の「THUNDERBYRD」、80年に
クリス・ヒルマンと共同でアルバムを作ってからは、あまりニュースを
聞かなかった(こちらが気に留めてなかったのもある)ので、このCDを
見つけた時は「えっ、活動しているの?」という驚きと嬉しさが同時に
こみ上げてきたものだ。瑞々しい新曲の数々がお馴染みのリッケンバッカーで
奏でられるのだが、このライブを聴いただけで新作の出来の良さを確信できる
演奏がそこには収録されていた。慌てて探した「BACK FROM RIO」は素晴らしい
出来で、後に私は90年代の25枚に選ぶことになる。

このブートレグを見つけたのは今の仕事について10日くらい経ってである。
「またつまらない仕事に就いてしまった。」と早くも思ったのだが、
先に書いた理由があって今回は投げ出すわけにはいかない。
「ロジャー・マッギンが帰ってきた。俺も今回は気合を入れ直すか。」
そんなふうに思ったことを今も覚えている。
あれから16年が経過した。仕事がつまらないのも、このCDのロジャーの
演奏が輝いているのも16年前と全く変わらない。
コメント (4)
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