HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

追憶のブートレグ61・ACT36 / SIMON & GARFUKEL

2008-10-07 21:16:08 | ROCK
サイモン&ガーファンクルというのは、ロックを聴き始めた頃の私には
何とも魅力の無い人たちであった。結成当初はトム&ジェリーと名乗っていたとか
S&Gになってレコーディングしたものの大したヒットもせず、後に
プロデューサーがバック・メンバーを揃えてアレンジし直したらヒットして
半ば別の道を模索していた二人が再び活動を軌道に乗せた、なんて話を
読むと、これはどうも格好良くないなと16歳の少年は思ったのである。
二人のルックスや身長のアンバランスさも冗談のように思えたのだ。

FMの特集でS&Gをまとめて聴いた時も印象は悪くなる一方だった。
教育テレビの番組か何かで聴いたような曲(コンドルは飛んでいく)や
暗くしみったれたイントロで始まる(サウンド・オブ・サイレンス)の
どこがいいのかさっぱりわからなかったのだ。
一聴して気に入ったほとんど唯一の曲が「いとしのセシリア」だったのだが
まあ、この曲をフェイバリットに挙げる時点でS&Gに触れる資格は
ないのかもしれないのだけど。(笑)

ところが。それまで意識せず聴いていた、あるいは聴くことを避けていた
「サウンド・オブ・サイレンス」の冒頭の歌詞を何気に聞き取ったとき
事態は変わった。冒頭のフレーズは「Hello,darkness my old friend.
I've come to talk with you again.」である。
ロックは楽しければいいってもんじゃない、バカみたいにギターを弾きまくれば
いいってもんじゃないと思い始めていた時期でもあったので、これは効いた。
対訳を読んだり、自分なりに解釈しようと努めてはみたが
正直なところ今に至るまで、この歌詞の持つ意味を掴みかねている。

「答えは風の中にある」とか「なすがままに」と歌ってくれたほうが
ずっと親切で楽なのだ。答えは風の中になんか無いことに気付くのに時間は
かからなかったし、なすがままの受動態でいるよりも、走らされる前に
歩き出さなければならないという能動的行為こそロックだと感じたし。
「静寂の音」って何だ?。「沈黙の音」って何だ?。
この歌はコミュニケーションの難しさを歌っているとも言われる。
アート・ガーファンクルは「好きなように解釈してくれ」と言ったというが
そりゃそうだ、これはポール・サイモンの曲なのだから仮にアートの解釈が
あったとしても、大木に生えた小さな枝のようなものだろう。

そんなことを思ううちに知らぬ間にS&Gのスタジオ盤を全て揃えてしまった。
今では67年のライブ盤がリリースされたし、スターバックス限定で69年の
ライブ盤もリリースされたが(未入手)、掲載写真のブートレグを手に入れた
時はそんなものは出ていなかったので、ちょっと嬉しかったものだ。
冒頭の「MRS.ROBINSON」に続いて、このツアーでバックを務めるメンバーの
紹介がある。ハル・ブレインやジョー・オズボーン、ラリー・ネクテルらの
名前も既に知っていたので彼らが紹介されるのを聞きながら「経験値が
上がるとはこのことだな。」とニヤニヤしてしまった。(笑)

バンドを引き連れてのライブは初めてだ、とのMCがあるがこのメンバーでの
ライブは今思えば贅沢なものだ。このメンバーは翌年発売されるアルバム
「明日に架ける橋」をレコーディングしているメンバーであるのだから。
従来の彼らに対するイメージと違う演奏を目の当たりにした観客はどう
思ったろう。ラリー・ネクテルのピアノ演奏を中心にアートが歌う
「明日に架ける橋」とポールのギターのみで二人で歌う「サウンド・オブ・
サイレンス」が続けて演奏された時が、一番観客が盛り上がったように
聴こえたのは、私の底意地が悪いからか?(笑)
ブートレグ自体の音質や音のバランスも良く、これぞブートレグの醍醐味
なのだが、それはさておき彼らの音はサイケもニュー・ロックも関係のない処に
流れる清流、ということでここはひとつ綺麗にまとめたい。(笑)

「サウンド・オブ・サイレンス」って何だ?。
ポップ・ミュージック、いや音楽の儚さや無力さについて、思いを
巡らせることにしようか・・・・いや、やめておこう。
コメント
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