HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

THE ROLLING STONES / SHINE A LIGHT

2008-10-04 12:05:08 | ROCK
最長不倒のロック・バンドの側面とほとんど「企業」と同じような
組織としての側面。ローリング・ストーンズは二つの顔を持つ。
賞賛するのは簡単で、罵倒するのは尚更簡単。
しかし、どちらもストーンズにとっては大した意味を持たない。
今後の歴史は当然誰にも予測はできないが、今の時点でストーンズの
比較対象が見当たらないのが、彼らの尊大さを許容せざるを
得ない状況を作っている。そして、私はそれを喜んで受け入れる。

私にとっての問題はストーンズ本体には無い。
ストーンズを許容する見返りとして、その周囲の声を受け入れないという
歪んだ構造を自分の中に構築してしまったのは何時なんだろう。
ストーンズを絶賛するにしても批判するにしても、「それじゃあ、貴方は
他に何を聴いてきたんだい?。」という問いかけが私の中で起こる。
今年の2月のブログにも書いたが、狭い範囲に収束している人は
私にとって笑いの対象である。大絶賛する人も無闇に非難する人も大抵
そこに入ってしまうのは気のせいではないだろう。

未だに日本発売の予定が無いマーティン・スコセッシ監督の映画「SHINE A
LIGHT」。とりあえず見たのだが、気分は複雑である。
ストーンズの演奏やそれを捉えた絵、音声のミックスは何の問題も無い。
映画としての編集が気に障るのだ。
ここには、ジャン・リュック・ゴダールのクールな視線と批評性や
ハル・アシュビーの肉感性とスピードを追求した編集能力は無い。
自ら道化の役割を買ってでたのかどうかは知らないが、スコセッシは
ストーンズと仕事をすることに少々浮かれていたのではないか、という
思いを拭うことが出来ない。これはDVDを見る前にCDを聴いた時から
思ったことだが、ストーンズのアルバムに自分の肉声を入れるというのが
ハナについて仕方なかったのだ。コンサート本編が始まるまでに
現場のドタバタが収録されていて、そこにスコセッシがやたらと映っている
のが白けてしまう。ミックのクールさで何とか救われるのだけど。

CDを聴いて今回のライブ、というかミックスは素晴らしいと思った。
映像でもそれは見事に確認できる。皆が聴きたかったギター・バンドとしての
ストーンズの音である。スティール・ホイール・ツアー以降のストーンズの
音はどうも馴染めない部分が多いのだが、それはギターの音が前に出ていない
からである。ロン・ウッドが好調なのが今回のミックスを可能にしたのは
間違いない。キース・リチャーズさんが事もあろうか、ギターを持たずに
手ぶら(笑)で歌う「YOU GOT THE SILVER」でのロンの演奏を聴いて
それを確信した。

残念なのはこの映像には新作「A BIGGER BANG」の曲が1曲も演奏されない
ことくらいか。「女たち」収録の3連発に溜飲を下げ、クリスティーナ・
アギレラに熱くたぎる。(笑)早く日本盤が出て欲しいものだ。
ところで、私がアマチュア・バンドをやっていた時の最も得意なストーンズ・
カバーは「LIVE WITH ME」であった。今思えば実に渋い選曲だったと
遠い目になる。(笑)

「一番好きなバンドって何?」と聞かれたときの答えは26年間変わっていない。
「ローリング・ストーンズっていうバンドなんだけど。知ってる?。」

コメント (4)
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