HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

失われた8番

2006-05-14 09:08:19 | ROCK
世の中には様々なコレクターがいる。特定のジャンルやアーティスト、
レーベルを片っ端から集める人、原盤以外に興味のない人など本当に
いろいろいる。私はそれらの何れにも当たらず、目に付いたものを
適当に聴いているだけである。

私と接点の全くない人種に「アップル・コレクター」というのがある。
レーベル・ロゴは可愛らしいし、なんといってもビートルズが関わった
だけに、集めたくなる人が多いのも理解できる。
M.J.Q.からオノ・ヨーコまですべてを愛せるかは別にして。(笑)

情報の整備された現在では、レーベルのカタログ番号も容易に知ることができる。
アップルのカタログ番号を見ていると、(他のレーベルでもそうなのだが)
欠番が多いことがわかる。シングルにいたってはいきなり1番がない。
デビューしてお茶の間に登場したもののいきなり会員番号の最初の数名が
いないことが衝撃だったアイドル・グループと同じだ。(違うか・・・)

欠番の中でリリース直前までいき、実際にサンプルまで作られていたのに
お蔵入りしたのが「APPLE 8」。ブルート・フォースのシングル盤で
「KING OF FUH / NOBODY KNOWS」がその曲だ。
「KING OF FUH」の歌詞に「FUCKIN'」と聞き取れる箇所が多数出てくる
ので、発売中止になったのだろう。

その幻の「APPLE 8」は今では掲載写真のアルバム「EXTEMPORANEOUS」の
ボーナス・トラックで聴くことが出来る。本体のアルバムはピアノ弾き語りの
ライブ収録で、正直なところ単調で少々つらいのだ。件の「KING OF FUH」は
ブルートの歌唱が雑なところもあるが、シングル発売するのに
ちょうどいい一般受けするアレンジが施され、歌詞はともかく過不足ない
出来映え。しかし、それよりも当時(1969年)のサイケ風な音処理が
施された「NOBODY KNOWS」のほうが今なら多くの人にアピールするかも。
アップル人脈の流れで言うと、「グレープ・フルーツ」のアルバムに
収録されてもおかしくないポップな魅力がある。チープなキーボードと
ボーカルにかけられた過度のエコーが強暴だ。

と、いうわけで私個人にはアルバムの魅力は語れないが、幻の「APPLE 8」を
聴くことができて、しかもそのシングルの内容が悪くないとわかった
だけでも収穫といえる。
それにしても、このブルート・フォースって人はトーケンズのメンバー
だったのだが、ほとんどそんなことを感じさせないのが逆に凄いかも。(笑)
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TIMBERCREEK / HELLBOUND HIGHWAY

2006-05-14 08:28:13 | ROCK
TIMBERCREEKが75年に自主制作したアルバム。当時のプレス枚数は100枚。
偶然、CD再発されたジャケットが目にとまり軽く検索をかけると・・・。

どれを見ても「DEAD MEETS THE EAGLES」との一文が添えられてある。
おいおい、書いているヤツが皆同じなのか?と思いながらも、それが
事実なら、購入を迷っている場合ではない。
再発元の「RADIO ACTIVE」は一般的にサイケデリック・ロックの再発に
力を入れている。どこまで権利をクリアしているか疑問との声もあるが
かなりお世話になっているので、内容は悪くないだろうとの確信をもって
購入に踏み切る。

材木を入り江に浮かべて出荷までの間、保管している風景は日本でも
見られるが、そんな場所を名前にしたと思しきバンドが出す音は
先の叩き文句に偽りなしの音だった。
サイケの括りにもいろいろあるのは御承知だろうが、日本での感覚に
比べて欧米では、より強くグレイトフル・デッドをサイケ軸でとらえる
傾向がある。
「TIMBERCREEK」もその感覚でとらえられての再発かもしれない。

サイケという言葉に抵抗がある人は、日本人の感覚ではそんな言葉が
全く無用であるとすぐ了解してもらえるのでご心配なく。
歌とギターはジェリー・ガルシア丸出しで、軽快なピアノとスティール・ギターを
聴けばこの埋もれていた「秘宝」に出会えたことを喜んでもらえるはず。

メロディーとコーラスも当時のアメリカ西海岸のグループと比べても
見劣りするものではない。こういったバンドがメジャー展開できなかった
ことにはいろいろ要因があると思うが、今回の再発がなければ
私なんかは一生見つけることができなかったかもしれないバンドである。
デッドやイーグルスのファンは勿論、カントリー・ロックが好きな方にも
お勧めの1枚。ゆったりと時間が流れるのを楽しむのは、なんて贅沢で
素敵なことなんだろう・・・。
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