HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

HENRY COW / UNREST

2006-01-04 19:26:03 | ROCK
CDの買い初めとばかりにタワー・レコードへ行く。
もはや悪癖としか言えないのだが、紙ジャケばかりに目がいく。
紙ジャケのかたまりがコーナーにあると、とりあえず繰ってみるのだ。
おいおい、「UFO」のコーナーに「グル・グル」を入れるんじゃないよ。(笑)
間違って買ったら可愛そうじゃないか。
それにしてもあんなにでかでかと表ジャケに「U.F.O.」って表記
されていたっけ・・・・。タワレコ某店の「UFO」コーナーで
一番格好いいCDなのは間違いないんだけど。

さて。「UNREST」はヘンリー・カウが74年に発表した2枚目。
どのアルバムも優れているのだが、衝撃の1STにやられた人や、
「スラップ・ハッピー」との合体作が好きな人も多いだろう。
ジャズに端を発しながら、即興と現代音楽を合わせて既存の音楽体系に
囚われない音作りや、レコード業界に対する姿勢を思えば、
これこそ言葉本来の意味での「プログレッシブ・ロック」だろう。

1STより2NDが何故好きかと言えば、メンバーも発言するように
自分たちの音楽制作に、より調和や音楽的資質を持ち込んで
整理することのできる存在、すなわちリンゼイ・クーパーの存在が
大きいからだ。彼女の操るバスーンの不気味なのに人懐こい不思議な
音色がフレッド・フリスのギターと絡むと、マジックが起きる。

クリス・カトラーは正直だ。
「対等のパートナーとしての女の子の参加は以前からの希望でもあったので
皆とても発奮した。」そうでしょうとも。(笑)
アナログのB面はそれでも実験色は強い。セッションの進行がそのまま
作曲過程であり、録音の断片がうまく編集されている。カトラーはB面が
お気に入りのようだ。
A面はより聞きやすい。ヤードバーズの「GOT TO HURRY」のフレーズを
展開して出来た「BITTERN STORM OVER ULM」は一度聴けば、耳に
残るだろうし、何より大曲「RUINS」の存在が重要だ。
アルバム・タイトルではないが、この曲ほど「不安」を感じさせる曲は無い。
欧州だけにクラシック要素は重要なのだが、クラシックに追随するのではなく
そこでは構築と破壊が繰り返される。
ああ、「CAN」にしろ「FAUST」にしろ優れたグループの方法は到達点こそ
違うものの、方法は近似しているのかもしれない。

ヘンリー・カウのその後の茨の道程については、ここでは触れない。
知っている方は知っているだろうし、興味をもたれた方は「スラップ・
ハッピー」や「アート・ベアーズ」、そのメンバーのソロの幾つかに
たどり着くだろうし、その過程でヘンリー・カウの歴史と特異性について、
自ずと知ることになるだろうから。
「ルインズ」という名前に反応して、このアルバムを未聴の人がいたら
真っ先に聞くべきだ。その際にはタイトルとジャケットの色合いを
間違わないように頭にインプットしていただきたい。
何せ最初の3枚は同じような「靴下」のデザインのジャケットだから。(笑)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする