今回のクールのドラマも次々と最終話を迎えつつある。今回はいつも以上に単純に
私が好きな女優が出演しているという、ただそれだけの理由で見続けたドラマがほとんどで
あった。しかし、個人的に滅多にないことが起きたドラマもあった。
というのも、第一話を見て面白くないと感じたら次以降は見ないのが常なのだが、
土曜日とか日曜日に再放送して次回放送に視聴者を誘うという、あの手法にまんまと嵌って
結局最後まで見たというドラマがあったのだ。
そして、もう一つは登場人物の歌声に何か感じるものがあって、その人のCDを買って
しまったということ。こんなことは今まではあまりなかったと記憶する。
そのドラマとは昨日終わったCXの「ラブソング」を指し、登場人物とは歌手の藤原さくらを
指す。ドラマの背景に音楽があるドラマというのはなかなかヒットするのが難しいようで
CXだと12年の「家族のうた」がすぐに思い浮かぶ。ドラマの内容はともかく、
「お茶の間にロックが根付くなんてのはまだまだ先の話」であると思ったものだ。
「ラブソング」は主人公の女性の生い立ちがそれほど恵まれていないことや、吃音である
ということが、とっかかりとして私にはきつかった。小中高とクラスが同じだったり
違ったりしたものの吃音の生徒とずっと同じ学校だったことを思い起こしてしまったのも
このドラマを見るのを断念しようと思った理由であった。
中学は三年間クラス替えがなく、吃音の生徒と同じクラスであった。ある日ちょっとした
ことが理由でそいつとクラスの人気者が掴み合いの喧嘩をしたのだが、私の目から見れば
明らかに人気者の方に非があったのに、クラスの女子の大半が吃音の生徒の方に冷たい
反応をしたという、ゾっとした記憶まで蘇ったものだから何ともたちが悪い。
それでも再びこのドラマを見たのは、藤原さくらの演技が上手に思えたのと、それ以上に
ドラマ中で歌う彼女の声が良かったからに他ならない。
調べてみるとCMソングを既に幾つか手掛けているし、高校生の時に既にアルバムを
リリースしている。あっ、これはドラマ中で時折出てくる新山詩織とパターンが似ている
かもと思ったりして掲載写真のCD「full bloom」を手にした。
収められた12曲は、正に瑞々しいSSWの曲そのものであり、各曲に施された過不足無い
アレンジと共に彼女の素敵な声に魅了されてしまった。そして、ドラマで歌われ先日
シングルになった数曲とは歌詞もメロディーも明らかに違うものであることも感じた。
ドラマでの起用をあざといと思った彼女のファン以外の人がいても、それは不思議
ではない。ずっと活動していても気づかれず急に目の前に現れたとしか受け取られない
のが世の常であり、自分の贔屓にしている俳優のドラマの視聴率が悪ければ共演者や
脚本のせいにするファンがいるのも事実であろう。
しかし、私はあのドラマのおかげで藤原さくらを知ったし、素晴らしい盤の存在も
知ることができた。この先、どんな曲が世に出てくるのか楽しみな若い才能の成長を
楽しみにしたいと思う。