2011年に8枚組DVDでリリースされたゴダイゴの「COLLECTOR'S BOX」の
続編が登場した。今回は3枚組で全て80年の映像である。
この時期のゴダイゴはTVドラマ「西遊記」「西遊記2」の音楽を手掛けた後であり
またドキュメンタリー番組のテーマ曲になった『RETUEN TO AFRICA』を出した
時期でもあった。子供心に「欧米以外の国に視点をあわせた曲を手掛けるものだなぁ。」
と思ったものだが、その後中国で演奏するという話を知った時は驚いた。
当時の偏見丸出しの心持を書けば「ロックな感じが全く感じ取れない中国で理解される
のか」なんてことを思ったはずだ。ま、欧米の白人から見れば「日本のロックって何?」
みたいにかつては思われたであろうから、同じようなことかもしれないがとにかく
当時はそう思ったはずだ。
今回のDVDのディスク1には80年の中国公演が収録されている。当時、テレビ東京で
放送されたとのことだが未見の私は今回のDVD化で初めて見ることができた。
客席の男性が皆一様に人民服を着ているのは異様な光景であるが、当時の文化を
感じさせる。
なんのことはない、日本のテレビのブラウン管の向こうから茶の間に向かって英語で
歌った(ヒット・シングルは日本語だったが)彼らにとって中国であろうが何処で
あろうが場所なんて関係ないのだなぁと思うことしきりの映像である。
まあ、彼らの歌が当たり障りない内容だから中国で演奏できたというのも、今になれば
判ることだがそれでも中国で最初に演奏した国外のロック・バンドであるという事実と
偉業は何の澱みもなく素晴らしいとしかいいようがない。
ストーンズが中国で演奏したのは06年のことなのだなぁ。
ディスク2は過去にLDでリリースされた「GODIEGO ON SILKROAD」の
「トルコ&イラン」と「インド&ネパール」の2枚を1枚のDVDに収録している。
何故か事前の情報で演奏シーンがほとんど皆無に近いことを知っていたので
「バンドが旅行しているだけの映像を収録した高価なLDを誰が買うのだろう」と
LD発売当時に思ったことを思い出した。
今なら好きな女優が旅行する番組をテレビで放送すれば喜んで見て録画する(笑)
のだが、ロック・バンドが旅行する映像なんて・・・という思いは今も変わらない。
しかし、80年にこれを記録として残したというのは素晴らしいことだと35年以上
経った今だと素直にそう思える。
ホメイニ師健在の当時のイランにアメリカ国籍のメンバーが入国できない、なんて
のはドキュメンタリーの形で残されているからこそリアルに検証できるわけで、
ほんの少しの会話だがメンバーのミッキー吉野とトミー・スナイダーのやりとりが
生々しく収録されていて驚く。各国の珍しい楽器の演奏を熱心に見入るメンバーの
表情や時に演奏に嬉々として加わる様は、当たり前だが流石にミュージシャンだなと
思わずにいられない。
この頃、スティーヴ・フォックスが宣教師になるために脱退するのだが、コンサート
でのファンへの別れの挨拶や空港でのメンバーとの別れも映像で見ることができ、
熱心なファンには見逃せないシーン続出のドキュメンタリーである。欲を言えば
カトマンズでのコンサートの映像をもっとたくさん見たかった。
ディスク3は80年9月に行われた神戸ポートアイランドでの野外コンサートを収録。
開放的な雰囲気の会場で、幾分曲のテンポもアップしバンドの魅力全開の演奏では
ないだろうか。個人的にはMCを含めて全肯定する内容ではない(例えば何故ここで
ネパール語で歌うのかという疑問がないわけではない)のだが、毎日放送で放送された
この映像を見ていなかった私には嬉しいDVD化であるのは間違いない。
映像がドンピカではないのでブルーレイにはならなかったのだろうが、前回のDVD
ボックスを手に入れた人には避けて通れない一品である。
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