ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/04/27 第35回俳優祭夜の部の「灰被姫」で抱腹絶倒!

2009-05-05 23:54:11 | 観劇

6/24のNHK教育TV「劇場への招待」のオンエアを観て修正を入れましたm(_ _)m
4/27俳優祭夜の部の舞踊二題の記事はこちら
4/27俳優祭夜の部の怒涛の模擬店めぐりの記事はこちら
前回の「白雪姫」に続いて玉三郎がシンデレラということで興味津々!

【灰被姫 シンデレラ-賑木挽町戯場始(にぎわうかぶきざことはじめ)-】竹本連中 長唄連中
企画構成=片岡仁左衛門 作=中村京蔵・山崎咲十郎
演出=市川團十郎 演出補=坂東三津五郎・中村歌昇
美術=中嶋正留 舞台装置=足立安男 照明=池田智哉
竹本作曲=竹本葵太夫 長唄作曲=杵屋巳吉 作調=田中傳左衛門
振付=市川紅梅 ダンス指導振付=福田一平
<あらすじと主な配役>
明治の中頃のこと。築小路伯爵家のお国(玉三郎)は継母の金子(勘三郎)やその連れ子の銀子(福助)銅子(橋之助)から婢同然に扱われ、灰被りと呼び捨てられている。灰被りの玉三郎は「ふるあめりかに~」の登場時のような粗末な着物にさらに肩当付きで下女風の拵え。勘三郎の金子はいかにも意地悪奥様風で舌鋒するどくいじめ、銀子役の福助は金髪ギャル風の頭で「先輩をいたぶるのって楽しいわ~」と言いながらいじめ。橋之助の銅子は矢絣の腰元姿でいじめも控えめ(笑)
今日はお城の舞踏会ならぬ歌舞伎座落成記念パーティに華族は列席することになっていて、お国は継母たちの用意を手伝うと自分も連れて行ってくれと願うが鼻であしらわれる。
悲しむお国のところへ変なドレス姿の魔法使いの老女(左團次)がやってきて歌舞伎座のパーティに行く用意をしてやる。葵太夫らの義太夫の床が「♪ビビデバビデブー♪」と節をつけて大真面目にやる中を鼠たち(御曹司の若手たち)が踊る間に衣裳替え。ドレス姿で登場の玉三郎に客席はどよめく。多分「鹿鳴館」の朝子の紺色のドレスに青い花飾りを3つつけておふざけ要素を追加しているのだと推測。

すると燕尾服姿のチェロ奏者がやってきて「おくりびと」(菊五郎)として「いってらっしゃい」と送り出す。「松竹配給アカデミー賞授賞」とか台詞は少ないのだが、もっくんのツンツンヘアーも誇張した鬘で佇まいだけで笑えた!こうして英名シンデレラは若い鼠たち(梅枝・種太郎・巳之助・萬太郎・新悟・壱太郎)が化けた車でいざ出発!

さて、歌舞伎座のパーティ会場は鹿鳴館のパーティさながら。天地会の趣向も入れて列席者のご夫婦は立役と女形が反対の役をつとめているが、いきなり彦三郎の女装に度肝を抜かれた。段四郎の女装は想定内(「身替座禅」の奥方が最高だった)。
息子亀治郎の白柳徹子役が黒柳徹子そっくりのドレス姿で大ウケだった。並んで司会役をつとめる支配人・美濃紋太郎の翫雀とのバランスもいい。
歌舞伎座座主・福地源一郎の歌六は真面目風の挨拶、歌舞伎座金主・千葉勝五郎の菊之助は何やら「吟じます」と最近のお笑い芸人の真似を頑張っていた(知らない私は今ひとつ反応できず)。 
伊藤博文内閣総理大臣の田之助は挨拶文がうまく開かず手こずっていたが読むか読まないかといううちに梅子夫人(久里子)に強面で切り上げさせられる。
来賓の米国前大統領グランド将軍(仁左衛門)は軍服に金髪で眼鏡の姿がカッコよく、キャサリン夫人の團十郎がソフィア・ローレンばりに肉感的美女の迫力に感動した。夫の挨拶は短く、夫人の挨拶はパリ・オペラ座でのフランス語の口上の一部の再現と思われるが最後は英語に切り替えるのに苦労しながらも「Change!」で締め括った。

北島ノ宮康人殿下(海老蔵)のご挨拶で真ん中に出てきたと思ったら、上着やサスペンダー、白いシャツも脱いで「止めろよ~」と言いつつ「裸になって何が悪い!」と数日前の事件のネタで盛り上げる(この場面はやはりこちらだった。6/24のNHKのオンエアで確認)。すし屋の権太の上半身を思い出す。

歌舞伎座周辺の飲食店の出前持ちも次々に登場してのチャリ場。鶴松の喫茶YOU女店員は勘太郎の婚約者愛ちゃんに似せて出てきてお祝いムードもしっかり入る。黒塗りのナイルレストラン店員の亀蔵がまさに面目躍如の役作りなのに本物のナイルさんも賛助出演して盛り上げる。歌舞伎座がなくなっている間も周囲の店をよろしくと客席にアピール。

さらにお祝いに人力車に乗った女将お京(雀右衛門)以下、新橋雀躍楼の面々(幇間・芸者・半玉たち)がかけつける。雀右衛門と同い年の小山三も半玉姿で女将の側にいるのが可愛い。
いよいよガラスの靴ならぬガラスの二枚扇の落とし主を探す展開へ。二枚扇をいかに使い慣れて舞い踊れるかを来賓たちがホワイトボードで採点結果を客席に見せる。福助の銀子は1枚脱いで足をにょっきりの姿で歌い踊る(これも私には何のパロディなのか不明(^^ゞ)が、久里子の梅子夫人は超辛口でバッサリ(笑)橋之助の銅子はすぐにやめさせられる。
二枚目役者の藪空棒之助(市川染五郎)が「歌舞伎たいそう いざやカブかん!」の拵えで登場し、二枚扇の踊りを披露。要所要所で「流し目のスナイパー」と司会から声がかかり、極めていく。早乙女太一風メイクだったようだが、流し目のしすぎで最後には扇を落してしまうというオチになっていた。
最後に件の老女が英名シンデレラにも踊れといい、黒衣の差し金付きで二枚扇を空中にも舞わせながら見事に踊るお国。
興奮した北島ノ宮の海老蔵は隣席の)が田之助に飛びついて「素晴らしい!」を乱発!「いやはや凄いぼっちゃんだ」と心底ぼやかれてしまって手を合わせて恐縮している姿に大苦笑(笑)

そこで王子の求愛を受ける展開にはならず、老女は実は歌舞伎座の守り神の使いで「出雲の阿国」の生まれ変わりを探してようやく見つけたということになる。

一同は不思議な力で眠らされ、歌舞伎座正面へと場面転換。そこには5人の歌舞伎座の守り神が鎮座していた。芝翫は赤姫姿、藤十郎は和事の二枚目姿、富十郎は白い獅子の装束、幸四郎は寺子屋の松王丸、吉右衛門は花枝を差した毛谷村の六助の裃姿。
ここで代表して芝翫が歌舞伎座のこれまでの愛顧への御礼と今後も引き立てをという旨を述べ、客席も一緒に手締めをして幕となった。

冒頭の勘三郎のコメディセンス炸裂のいじめのシーンから大笑い。顔をさして「ちょっとくらいここがいいからって」という言葉はもう定番か!玉三郎も台詞を間違って言い直して笑っている。左團次の変なドレス姿もおかしかったが杖がライトセーバーっぽいのがまた変すぎる。前回の北千住観音ほどのインパクトはないが菊五郎の「おくりびと」も真面目な顔をくずさずにやっているのがまた可笑しい。今回は今の歌舞伎座最後ということで俳優協会メンバー総出演の賑々しさなので、これくらいでバランスがいいということだろう。

とにかく名題下役者まで総出演の極めつけ俳優祭の豪華版のお芝居を抱腹絶倒で堪能させてもらった。
歌舞伎座への役者さんたちの熱く深い想いが伝わったし、俳優祭にかけつけた観客も歌舞伎座への想いが強いだろうし、その想いが融けあって歌舞伎座を満たしているように思えた。その熱気のあふれる劇場をハイテンションのまま打ち出されてきたのだった。

写真は第35回俳優祭のチラシ画像。他の出演者は日本俳優協会サイトの「俳優祭」のページを参照してくださいm(_ _)m
「俳優祭でミニミニオフ会のレンチャン+夜御飯は?!」の記事はこちら


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5 コメント

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ありがとうございます♪ (hitomi)
2009-05-06 12:29:19
目に浮かぶようです。勘三郎のいじめブリ、菊五郎のおくりびと、海老蔵の「裸になって…」読んでるだけで笑いだしたくなります。テレビ放送を待ちます。
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俳優祭レポお疲れさまでした (六条亭)
2009-05-06 22:43:38
現歌舞伎座最後の俳優祭、役者さんの総出演で見所も多く、『灰被姫』のレポのみで書ききれませんね。また新しいネタは私もその場では理解できないものもありましたよ(^_^;)。

NHKは昼夜でカメラが入っていましたから、早く放送日を正式発表してほしいですね。

TBをうちました。
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アドリブ大会 (harumichin)
2009-05-07 14:56:49
『灰被姫』出演者のみなさん毎度ながら、すごいアドリブで驚かされました。
この作品を作った咲十郎さんが、参考にしたというエレナー・ファージョン作の『ガラスのくつ』(岩波書店)図書館で見つけて読まなくちゃ..っておもいつつ今だ、読書に至らない私です。
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皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2009-05-12 00:21:58

返事が大変遅くなって恐縮です。まずお詫びと重ねて御礼を申し上げますm(_ _)m
★hitomiさま
私もTVのオンエアでアップで観るのが楽しみです。
★六条亭さま
最近のお笑いや若い人の歌などとは無縁なのでやはり咄嗟に反応できずということで、六条亭さまの記事を読んでなるほど~ガッテンという感じで有難かったです。
今の歌舞伎座最後ということで俳優協会メンバー総出演の賑々しい舞台を堪能できました。記事を書きながら反芻して書き終わったら脱力するほどの盛りだくさんぶりに「やっぱり贅沢や~」。
昼と夜の間のミニオフ会から開演に間に合うように走ってくる時にNHKの中継車を見かけてやっぱりと思いました。オンエアが楽しみです。6/29の教育TVでしょうか?
★みゆみゆ様
当初、私の方の記事で鼠たちとおくりびとのあたりの文章がおかしくなっていたのですが、思い出せずに結局は書き落としていたせいでした。みゆみゆ様の記事で気づかせていただき、感謝ですm(_ _)m
義太夫の床のあたりは暗かったのですが、葵太夫のビビデバビデブ~♪を節をつけて語る表情を見たくて一生懸命双眼鏡を覗いていたのを思い出しました(^^ゞ
「灰被姫」は今の歌舞伎座最後ということでオールスターキャストでてんこもりでしたが、まぁそれを堪能しきったので大満足でした。NHKのオンエアでアップで観るのが楽しみです。
それと白雪姫とシンデレラの2回分を俳優協会とNHKでDVDを売り出したら歌舞伎座建て替え中の活動資金になると思うのですがどんなもんでしょうか(笑)
★harumichinさま
>アドリブ大会......きちんと台本をさらった上で繰り出すアドリブだそうですね。京蔵さんと咲十郎さんが書かれた台本も役者を活かした内容で素晴らしかったです。岩波書店の『ガラスのくつ』情報も有難うございます。私も機会があったら読みたいと思いました。
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テレビ鑑賞 (hitomi)
2009-06-27 10:46:02
テレビで観ました。爆笑です。ぴかちゅうさんの記事、参考にさせてもらいました。ありがとうございます。
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