ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/03/21 『越路吹雪物語』によみがえる乙女時代

2006-03-23 01:27:25 | 観劇
池畑慎之介(=ピーター)主演の舞台『越路吹雪物語』は2003年初演の時から観たいと思っていたのだが、なかなか観ることができないできていた。そういう舞台は劇評も気になり、劇評で誉められているのをみると後悔の気持ちがより大きくなってしまう。
さらに昨年のTVドラマシリーズ「女の一代記」でも『越路吹雪と岩谷時子』があったのにノーチェックで見逃してしまっていた。redandblackextraさんのブログでその感想を読んで絶対に次に舞台があったら観るぞと決意を固めていた。そして年末に日生劇場公演のチケットをGET。しっかり観ようと三列目の中央を奮発した。
redandblackextraさんのTVドラマの感想はこちら
3/21夜の部を観劇。大体のスジは以下の通り。
56歳で亡くなったコーちゃん=越路吹雪(池畑慎之介)の遺影の前で岩谷時子(高畑淳子)が追悼する場面から始まる。追想の狂言回しは時子と独身時代のコーちゃんが愛人関係にあった真木小太郎(草刈正雄)がつとめる。
宝塚音楽学校での越路吹雪と岩谷時子の出会いから気が合って二人三脚的な関係へ。時子はスターになったコーちゃんのマネージャー的な役割を担っていく。その中で越路吹雪の歌の訳詞もする機会も多々生まれる。代表曲のようになった「愛の讃歌」の訳詞が生まれ出る場面、高畑淳子による歌詞の朗読は圧巻だった。淡々と始まった朗読が最後には「恋の素晴らしさ」を讃える歌をコーちゃんに歌わせたいという時子の強い思いが伝わるようになり、まずそこで涙してしまった(T-T)
天衣無縫なステージでの姿とは別人のような繊細さをあわせもち、恋多き魅力的な女だったコーちゃん像をその人そのものといったハマリ役で演じている池畑慎之介。細かいしぐさや表情も研究しつくしてちょっと誇張して再現しているその努力が好ましい。コーちゃんが大好きで誠実にずっと支えてしまう控えめだけれども芯の強い時子を自然に造詣している高畑淳子。そのふたりの芝居がこの舞台を支えている。草刈正雄の真木もコーちゃんが惚れるのも無理がないといういい男ぶり。
真木との結婚をあきらめても子どもが欲しいという結婚願望の強いコーちゃんは34歳でピアニストの内藤法美と結婚。内藤が自分よりも関係が古い時子との距離をとるように言うとコーちゃんは断れない。そうして少し距離をおくようになりながらもずっと支えていく時子。そして早すぎるコーちゃんの死、冒頭の遺影の前の場面に戻って幕。しかし、ここからなのだ!

「越路吹雪ロングリサイタル」再現シーンといわれる場面がドーンと最後にあるのだ♪♪短いブロンドの髪、青をきかせたアイメイクとコーちゃんそっくりのメイクで肩もあらわな真っ赤なドレスに身をつつんだ池畑コーちゃん。7曲くらいを次々に歌い、客席からは「コーちゃん」「ブラボー」とかけ声と割れんばかりの拍手(スミマセン、私もやってましたm(_ _)m)。やっぱりロングリサイタルの常連さんたちがいっぱい観にきているのだなとわかる。
「サントワマミー」「ろくでなし」「ラストダンスは私に」「チャンスが欲しいの」「夢の中に君がいる」「人生は過ぎゆく」「愛の讃歌」...確かこんな感じだったと思うが、全部聴きこんだ歌だった。
私は中学3年生で母親に連れられて観た『ベルばら』で宝塚にハマり、母が大好きだったコーちゃんのロングリサイタルのLPを友人のお母さんに借りてしっかりとききこんでいた。舞台は日生劇場で『アプローズ』を高校時代に一回観ただけで、ずっとロングリサイタルを観たいなと思っていたのに実現する前に亡くなってしまったのだ。実際に観たことはないロングリサイタルでのコーちゃん。きっとこんなだったのだろうなあと思いながら、シャンソンをきいて恋に恋していた時代の私の思いがよみがえってきて、泣けた、泣けた(T-T)
こんなにコーちゃんの聴き込んでいる私が聞いても違和感のない池畑コーちゃん。合格だ~!しっかりライフワークとして続けていってください~m(_ _)m

池畑慎之介と高畑淳子の共演は昨年の『もとの黙阿弥』で観ている。華族の女と女座長が繰り広げる演劇論議の丁々発止が見事だったが、その前からこの作品で共演を続けてきたことでいい信頼関係が出来上がっていたのだなと納得。是非このふたりで長く続けていって欲しい。
そしてプログラムを読んで気づいた。演出が『サラ』を演出した宮田慶子によるものだった。なるほど~、感情の襞を浮き立たせるようなきめ細かな演出だった。ここでも女性がいい仕事をしていると思うと嬉しくなった。
『サラ~追想で綴る女優サラ・ベルナールの一生』の感想はこちら

写真は昨年の地方での上演のチラシ写真。今年のチラシ写真はいくらなんでもねえ、ちょっと好きじゃないな。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読ませていただきました (らぶりー)
2006-03-23 17:57:21
私も近くなら、ぜひ見たい舞台です。

高畑さんが岩谷さん役だったのですね。彼女は、芸能人のわりには地味な生活でしたよ。以前ワイドショーの自宅訪問で~!



ドラマ版もまた違う魅力あると思うので、ぜひぜひ機会がありましたら・・・

岩谷さんが、東宝作品訳詞するエピソードをもっとみせてほしかったです。
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★らぶりー様 (ぴかちゅう)
2006-03-24 08:56:30
コメントありがとうございますm(_ _)m

地方での上演もよくある舞台のようですから、お近くでの公演があったら是非ご覧ください。おすすめします(^O^)/

高畑さん、自宅訪問番組でお人柄がみえたんですねえ。高畑さんも演出の宮田さんも青年座関係ですね。青年座は地味だけどいい作品をきちっと上演しているようなので、注目しています。ミュージカルで大活躍の石川禅さんも青年座だったし、お芝居ができる人が育ってますよね。

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紹介ありがとうございます (red and black)
2006-03-24 10:47:39
こんにちは。blogの記事紹介ありがとうございました。つたない感想で、かえって申し訳ないです。最近レミゼblogにかかりきりだったので、お返事遅くなって失礼しました。

そして何をかくそう… わたしも去年、この舞台を観ています。高畑さんの演技はもちろんのこと、最後のリサイタル場面で盛り上がるお客さんたちにもじーんときました。越路吹雪はいまもなお、大スターでありつづけているんですね。
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★redandblackextra様 (ぴかちゅう)
2006-03-25 00:11:20
再演のたびにマークしていて今回ようやく観ることができました。「日生劇場を愛しています」というコーちゃんの言葉を池畑コーちゃんがしゃべってくれましたが、私が観た唯一のナマコーちゃんの『アプローズ』も日生劇場でした。彼女の魂がこの劇場にはとどまっているような気がします。

さて、次の日生劇場は4/3の『レミゼ』別所バルジャンです。そちらも感想を書いたらレミゼblogの方にお邪魔します(^O^)/
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見てみたいと思いつつ (harumichhin)
2006-03-27 23:48:25
結局いけませんでした。

見てみたいなとも思いつつ。

私たった1度だけですが、日生でリサイタル見たんですよ。

細川俊之さんがでていたような・・

我が家に2枚レコードがあったせいでしょうか・・。





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★harumichhinさま (ぴかちゅう)
2006-03-28 18:50:14
コメントありがとうございますm(_ _)m

コーちゃんのリサイタルをご覧になっているとのこと、ウラヤマ!です。この舞台を観てから我が家ではコーチャンのベスト盤CD2枚組を何回か聞きました。「シャル・ウィ・ダンス」は当時の染五郎とのデュエットでした!

細川俊之さんは木の実ナナさんと組んでシリーズ化していた『ショーガール』を高校時代に奮発してPARCO劇場の前の方の席で観ました。ホント、いい声だったしセクシーだったなあ(遠い目...)。

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天海祐希版のTVドラマの感想 (ぴかちゅう)
2006-12-10 21:58:35

昨日の午後、たまたまTVをつけたら天海祐希版のTVドラマの再放送をやっていて途中から観ることができた。
舞台では夫の内藤法美さんとの結婚後は岩谷さんとの距離ができたため、場面がお葬式まで飛んでいた。TVドラマでは結婚生活でのエピソードもいろいろ描かれていたのが興味深かった。母になることと越路吹雪であることとの選択をしたこと、不眠症に悩まされ続けたこと、両親と兄を奪ったガンをおそれていたのに自分も末期の胃ガンで亡くならざるを得なかったこと、夫の前ではじめてひとりの女になれたというようなエピソードの数々。それをずっと見守り続ける岩谷時子を松下由樹が好演。
天海祐希の越路吹雪の舞台姿は美しかった。しかしながら歌うシャンソンは薄っぺらだった。これはミュージカルの舞台に立てるレベルではない。主に映像の方にすすんだのは正解だったと思った。
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