ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/02/23 国立劇場文楽第三部「義経千本桜」はケレン味たっぷり!

2008-02-24 23:58:07 | 観劇

三部制の国立小劇場二月文楽公演を今年も2回に分けて観た=第一部を2/10に第二~三部を2/23。順不同だが第三部「義経千本桜」から書いていこう。
2006年12月に文楽で観た時の感想はこちら堀川御所の段~伏見稲荷の段~渡海屋・大物浦の段
2007年3月に歌舞伎で観た時の感想はこちら

【義経千本桜】二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
今回は、伏見稲荷の段~道行初音旅~河連法眼館の段ということで、狐忠信関連の段を通す上演だ。人形役割と浄瑠璃は以下の通り。
佐藤忠信実は源九郎狐=桐竹勘十郎
源義経=吉田文司 静御前=吉田和生
亀井六郎=吉田蓑一郎 駿河次郎=吉田一輔
武蔵坊弁慶=吉田勘市 佐藤忠信=吉田玉志
逸見藤太=吉田玉勢
<伏見稲荷の段>
豊竹松香大夫 野澤喜一朗
<道行初音旅>
静御前=豊竹呂勢大夫 狐忠信=豊竹咲甫大夫
竹本相子大夫 豊竹つばさ大夫 豊竹靖大夫
鶴澤清治 鶴澤清志郎 鶴澤清丈 鶴澤龍璽 鶴澤清公
<河連法眼館の段>
中 竹本津駒大夫 鶴澤寛治
奥 豊竹咲大夫 鶴澤燕三 ツレ鶴澤寛太郎

<伏見稲荷の段>
歌舞伎では武蔵坊弁慶が、静にとりなしをしてもらっていたが、文楽ではそれはなし。弁慶が泣くのを観て義経は勘気を解くのだ。文楽はとにかくスピーディに物語が展開していくのがいい。
今回は狐忠信を遣う桐竹勘十郎が人形の狐で登場してきた時の衣裳にまず驚いた。白い衣裳で上着には狐火の火焔が入っている。それが忠信の姿で登場する時は色付きの衣裳に変わっていて感心した。文楽でも早替りってやるんだ!2006年12月にも観た時はどうだったろうか。白い頭巾をかぶった白衣だったような気もするが記憶が曖昧(^^ゞ
逸見藤太が梅に縛り付けられた静を捉えようとする時に茂みから忠信が現われて救う。勘十郎の忠信は立ち回りの迫力があり、逸見藤太を踏み殺すというところもその気合十分。こういうあたりは人形の醍醐味だ。玉勢の藤太も頑張っていて嬉しかった。それにしても忠信の髻の白い元結?が結び目が歌舞伎よりも大きく結われていて、そのバランスが絶妙。狐の耳がイメージできてしまうこの工夫にも感心。

<道行初音旅>
鶴澤清治以下5梃の三味線と大夫5人枚の賑やかな浄瑠璃。横に紅白の段縞になった幕が落とされるとそこに静御前が旅衣でいる。赤姫の衣裳の上の刺繍一杯の水色の小袖が美しい。また、文楽の舞台は歌舞伎座よりもはるかに小さいが、桜の下がり物や桜の描き物の背景があるとその分よけいに桜花がいっぱいに満ち満ちた派手な空間に感じられる。
行方不明の忠信が鼓の音に引かれて登場。源平合戦の戦物語もしっかり義太夫で聞くことができたのもよかった。文楽では追っ手の逸見藤太たちとの立ち回りもなし。静御前の和生が投げた扇を忠信の勘十郎が見事にキャッチ!これが歌舞伎の忠信と逸見藤太の笠の円盤投げにつながるのかと納得。

<河連法眼館の段>
河連法眼夫妻の会話の場面はなし。義経に本物の佐藤忠信が目通りするところから始まる。人形遣いも別だし、カシラも違うしで歌舞伎とだいぶ違っていて面白い。
鼓を使って静が偽の忠信を誘い出す場面、下手にわざわざ鼓打ちが登場して本物の鼓を打つ。置いて被い布をかけたと思ったら作り物の鼓に変わっていて、その皮を破って白い狐が飛び出す仕掛けに驚く。そこからまた人間姿に変わり、衣裳もぶっかえりとケレン味あふれる演出が続く。その都度、客席からオーッと歓声とすごい拍手。

勘十郎の狐の動きはめちゃくちゃ可愛いかった。忠信姿に変わった時、これまでの場面の狐忠信とカシラも違うし、手も狐手になっていてここでもホホーッと感心。文楽の人形の早替りは人形ごと変えてしまうことも多いのだ。
豊竹咲大夫の狐言葉の浄瑠璃は、とても自然な感じだった。歌舞伎役者の狐言葉とはずいぶん違う。電光掲示の字幕にも聞き取りを助けられてはいるが(^^ゞ
さらに狐の本性を現す時は、引き抜いて狐火の火焔模様の入った白い着物にぶっかえった。義経に初音の鼓を与えられて喜ぶところも可愛かった。
横川禅司覚範が送り込んだ僧兵との立ち回りもなし。浄瑠璃の中でやっつけておくと語られる、そして最後のクライマックスへとスピーディにすすむ。
初音の鼓を持って、喜び勇んで空中を飛んで去る源九郎狐。勘十郎の腰にワイヤーが取り付けられて、舞台の下手から上手への宙乗りだ。足先は舞台の後方に上げながら、人形を遣いつつ少しずつ飛び去っていくのだ。カッコイイ~。
それにしても裃と衣裳と袴の引き抜きってどうやるのだろうか。あまりに鮮やかに決まっているので感心しきり。いつもの厳しい苦い顔での大熱演。それもカッコイイ~。鶴澤燕三の三味線も凄い迫力でよかった。

歌舞伎のケレンの演出を文楽が取り入れたらしいが、歌舞伎と文楽とお互いにいいところは取り入れあっているというのが素晴らしい。
そして、とにかく勘十郎の狐忠信を堪能できた第三部。ご贔屓度がまたアップしてしまった(^^ゞ
写真は公式サイトよりチラシの画像。
2/11第一部「冥途の飛脚」はこちら
2/23第二部①「二人禿」「中将姫雪責」はこちら
2/23第二部②「壺坂観音霊験記」はこちら


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2 コメント

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VIVA!キツネ (かしまし娘)
2008-02-25 11:50:44
ぴかちゅう様、まいど!
桜の中を悠々と飛ぶ狐忠信。カッチョイイ。
歌舞伎とは全く違う世界がそこにありました。
ウウ…それにしても、忠信ったら饒舌すぎ…でした。(私には…)
尻尾フリフリとか、後ろ足で耳の後ろを掻き掻き。なのが可愛いかったです。
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★かしまし娘さま (ぴかちゅう)
2008-02-26 00:45:11
文楽でも狐忠信が宙乗りするよと聞いていったら、まずは勘十郎さんの衣裳の早替りで驚いてしまいました!川連法眼館では、最初の狐人形の鼓の皮をバリっが新鮮な驚きでした!!とにかく勘十郎さんの狐忠信の大活躍を堪能できた第三部に満足しました。
それとかしまし娘さんの文楽の記事の連続アップに刺激され、アマゾンでしっかりDVD買ってしまいそうです。それも2つとも!!「闘う三味線」をBGMにしながらお家の掃除をしようと思っています。花粉と埃と闘う私?!
(注)かしまし娘さんの記事は名前をクリックすると読んでいただけますのでご紹介(^O^)/
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