ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/01/21 新春浅草歌舞伎第一部②「すし屋」

2007-03-19 23:43:56 | 観劇

第一部①年始ご挨拶+「身替座禅」の感想はこちら
3.義経千本桜 すし屋
この演目は、昨年8/30に観た勘三郎襲名披露の全国公演で勘三郎の権太を観たのが初見(感想はこちら)。
今年の新春浅草歌舞伎は迷ったが見送るつもりになっていた。ところがやはり愛之助の権太の評判がいいので我慢しきれずに3階の2000円の席がとれたので観ることにした。
そして3/18に歌舞伎座の「義経千本桜」の通し上演で仁左衛門の権太も初見。これで愛之助が頑張っていたことも再認識した。
今回の配役は以下の通り。
いがみの権太=片岡愛之助  妹・お里=中村芝のぶ
父・鮓屋弥左衛門=市川男女蔵  母・お米=嶋之丞
弥助実は三位中将維盛=中村七之助  若葉の内侍=中村亀鶴
梶原平三景時=中村獅童

浅草公会堂に行ってからそういえば「木の実」「小金吾討死」がないバージョンだと思い出した。そこを省いて「すし屋」だけの上演だとやはりドラマの盛り上がりは今ひとつだった。
愛之助の権太はまず声が立派。若手でこんなに低音が響かせられる人はなかなかいないと思う。義太夫をしっかり勉強しているためだと思う。肌ぬぎになったり素足が見える場面では若さが活きる。まさに時分の花を咲かせる権太だった。仁左衛門から直伝でつとめている。仁左衛門の型ということで、嘘涙のつけ方とか母親の膝で甘えかかるしぐさとか勘三郎の型との違いもわかって面白い。

勘三郎の権太の時に女房小せんだった芝のぶが今回はお里。弥助に惚れこんでいて親もゆるしてくれた結婚をせまるところが可愛かった。芝のぶは渡辺保氏の劇評でよく「女優っぽい」と指摘されることが少なくない。渡辺先生は女方の型をきちんと身につけていないとこういう指摘をされるようだ。今回のこの役では「新派の女方めいている」と書かれていた。これは少しは女優っぽさを脱して前進したということなのかなぁとか推測。確かに三月歌舞伎座の孝太郎のお里は確かに女方の芝居と感じたのでこの辺なんだろうか。とにかく研修生出身の芝のぶの頑張りを応援したい。

七之助の弥助は大人の男の役にしてはちょっと線が細すぎる。じゃらじゃらする場面があまりに頼りなさすぎてふらふらの感があった。弥左衛門に維盛として扱われてからは公家としての品位もあってなかなかいい。こうしてみると和事的な役というのは難しいものなんだと思う。亀鶴の若葉の内侍はちょっと硬い感じ。男女蔵の弥左衛門がちゃんとした老け役になっていて見直した。
獅童の梶原景時は強面がいきていた。けれども台詞になると低音を響かせられない。こうしてみるとやはり愛之助の声の出し方は立派だ。
内侍親子として突き出される女房小せんと息子は台詞も全くなく顔が隠れての登場だったので誰か全くわからない。「木の実」なしだと権太親子の情愛場面がないので初めて見る人だと感情移入しにくいかもしれない。そういう状態から夫のために身を投げ出す妻子が縛るのに血を吐く思いをしたという台詞でやっぱり泣けたのは自分でイメージできていたのと、愛之助の台詞がけっこうよかったせいだと思う。

三月歌舞伎座は3/18に昼の部を観た。あまりに「吉野山」の仁左衛門の藤太がよくて帰れなくなった。予定外の「木の実」「小金吾討死」「すし屋」の幕見。ベテランの揃った舞台にしっかり泣いてきた。そちらの感想はまたあらためて!!

写真は浅草公会堂前の幟。裏返っているが愛之助の名前の幟。


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3 コメント

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歌舞伎座ノアップですが… (midori)
2007-03-22 13:22:41
ぴかちゅうさん>
どうもです!
拙ブログへのコメント&トラバ、ありがとうございました。
物語を堪能するには、やっぱり一連の流れも必要だな…と、
歌舞伎座版を観るとわかりますよね。
張られた伏線が、又、後から反芻するとグッときました。
(*ーー*)
歌舞伎座昼の部ですが、仁左衛門さん繋がりということで。
トラバさせていただきます。
(^^;
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★「好きなことは止められない」のmidoriさま (ぴかちゅう)
2007-03-23 01:08:14
TB返しとコメントを有難うございますm(_ _)m
昼の部だけ観にいったのに、仁左衛門丈の藤太を観て気分良く帰ろうと思ったのに、そのまま幕見に直行するハメになっちゃったんです。ダメダ、仁左衛門さんが夜の部のすぐに出るのに帰れない~(^^ゞ
あの仁左・玉の現在最高峰の美男美女役者がこんな三枚目=正確には半道敵(はんどうがたき)を徹底的に魅力的にやってくれるんですから、歌舞伎役者おそるべし!ですよね。役者さんの名前づくしも意味が通ってちゃんと名前がわかる!早口も本当に心地よくききとれる!!
こういう役を大看板の役者がやることを「ご馳走」というのだそうです。もうこんな大ご馳走メッタにあるもんじゃないですよ。これだけ幕見したくなってしまいました。夜の部は千穐楽で~す。
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★「永遠のお子様計画☆」のるるる様 (ぴかちゅう)
2007-04-04 02:24:43
TB有難うございますm(_ _)m
3月の歌舞伎座の「義経千本桜」では仁左衛門丈の権太も観ることができて、当代仁左衛門丈の作り上げた権太に泣かされてきました。それを愛之助丈がしっかりと継承されているのが嬉しいです。
3階席ロビーの写真も有難いです。いつも3階席で観ていて、歌舞伎の演目の絵が屏風になっていたのがけっこうお気に入りだったので雰囲気が思い出されて嬉しいです。
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