澤瀉屋の4つの名跡の襲名披露の記者会見は本当にびっくりの大ニュースだった。ネットニュースで記者会見を文字にしたものも読ませてもらったが、TVでの映像は今日の「アッコにおまかせ」でようやく見ることができた。
香川照之の真剣な姿勢に思わず目頭が熱くなったが、もう一つ、この番組の独占取材だという母の浜木綿子への電話取材の音声を聞くことができたのが嬉しかった。和田アキ子が以前、浜木綿子と共演した際によくしてもらったと話していたが、そのご縁で実現したのだろう。
浜木綿子は、東宝の座長公演やTVの2時間ドラマでの気風のよい女主人公の役が私好みの女優さんだった。しかしながら、最近あまりTVドラマとかでもお見かけしないので、もしや体調を崩しているのではないかと心配していたところだった。
記者会見では「母がゆるしてくれたから」と香川照之が言い、猿之助が「浜さん、有難う、恩讐の彼方でも有難う」と述べ、香川も「お母さん有難う」と涙声になっていた。
その浜木綿子が、ドラマの女主人公の時のような気風のよい声で電話取材に答えている音声で、まずは健在を確認し、安堵!
さらにその話の内容に胸を打たれた。
Q「照之さんの歌舞伎界入りには反対されなかったんですか?」
A「反対しましたよ。けれど言うことを聞く子じゃありませんから」
Q「襲名披露公演は観に行かれますか?」
A「子どもと孫ですからね。観ましょう」
等々、いろいろとやりとりがあったが、省略。
番組ではいつものようにパネルに過去を振り返る説明を書き出し、少しずつ隠す紙を剥がしては解説をすすめていく。
二人の破局は、猿之助が十分な説明もせずに家を出ていって裁判の末に離婚になったこと。香川照之の東京大学文学部卒業まで、母がしっかり育てたということ。親の七光もいいなと安直にこの芸能界に入ったこと(母→石井ふく子の線でTV局のADのバイトもしてから役者になった)。母に内緒で父に会いに行ってすげなくされたこと。それなのにずっと歌舞伎役者になりたいと思い続けたこと、等々。
猿之助は踊りを習いにいった藤間流の家元夫人だった藤間紫に敬慕を抱き続けていたのに、浜木綿子と結婚した。夫の心には自分ではない人がいることを見抜いた浜木綿子の気持ちが表に出てしまって、夫婦仲がぎくしゃくし、ついに猿之助が我慢できなくなって家を出たのだろうとこれまでも推測していた。
男女の仲というものは複雑怪奇で、だから「源氏物語」以来、あらゆる芸術で描かれるテーマになるわけだから、この夫婦のことも別にそういうことがあっても然りという感じではあった。
しかしながら、子どもへはまた別に複雑に影響する。その結果としての、香川照之のこれまでの生き方、これからの生き方への決断があったのだろうと推測。
その決断を、大人になった子どもの決断として最後にはゆるして支える決意を決めた母、浜木綿子の生きざまに、惚れてしまった。
今回もまた人間のドラマを見せてもらったことに感謝であるm(_ _)m