Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」初日2014.10.16批評(No.2396)

2014-10-16 23:52:53 | 批評

女声3役 = カルメラ・レミージョ,アガ・ミコライ,鷲尾麻衣 主導で舞台をグイグイ引っ張った アサガロフ演出 + ヴァイケルト指揮 の初演時を遥かに凌ぐ再演演目名演!


 男声陣も(マゼット役を除いて)充実していたのだが、アンサンブル時に高声部を担当する3名のソプラノが3名とも揃いも揃って充実しており、「ドン・ジョヴァンニ = アンサンブルオペラ」を実際に音にしてくれた。
 私高本は「ドン・ジョヴァンニ」好きで多く聴いているが、この日ほどアンサンブルが優れた公演は初めてである。新国立劇場の過去のアサガロフの同一演出(2008年、2011年)よりも圧倒的に充実している。アサガロフを再演に再招聘したこと、ヴァイケルト指揮、キャスティング の全ての歯車が合ったからである。飯守泰次郎芸術監督の「再演演目」船出は抜群の出来。読者の皆様には是非是非聴いて頂きたい。


 女声陣3名と男声陣4名はソロにアンサンブルに大活躍! その源泉は

ヴァイケルト指揮の「拍感が踊り出すかのような卓越したリズム感」で極めて歌い易く、拍の頭を強調した瞬間に力を抜きほとんどビブラートを掛けない「オリジナル楽器奏法」が極めて自然に東フィルから紡ぎ出された


が大きい。「いつものモーツァルトオペラ」と同じ10型編成で特にアシスタントも付けていないのだが、「音の伸び」が素晴らしい。合唱の声も30名編成とは思えないほど、伸びて来る。モーツァルトスコアに忠実であり、1幕フィナーレのステージ上のバンダは、音の広がりが(過去2回の同演出と同じ配置のハズだが)はっきりと「舞台上の広がり」を強調した音響となった。


鷲尾麻衣 のアンサンブル力の高さに舌を巻く!


 通訳「奥様、お手をどうぞ」の2重唱から、第2幕フィナーレ6重唱までアンサンブル名曲続出の役=ツェルリーナだが(予算の関係なのか)ドンナ・アンナ や ドンナ・エルヴィーラ と同等クラスの歌手が起用されることは私高本の過去の経験では皆無であり、今回も ツェルリーナ だけが日本人ソプラノ = 鷲尾麻衣 であった。「ドン・ジョヴァンニ」は第2幕フィナーレが「オペラ鑑賞の後味を決める名場面」なのだが、最後の6重唱で「ドンナ・アンナ + ドンナ・エルヴィーラ」がメロディーを2重唱で歌った後に「ツェルリーナ が1声部」で歌い継ぐ、と言う過酷なフレーズで始まる><
  過去全ての公演はここで声量が落ちて「ドボン」であったが、今回は極めてスムーズに繋がった。「ドンナ・アンナ + ドンナ・エルヴィーラ」もフルヴォイスで歌ったかのように聴こえたのだが、このバランス感覚が ヴァイケルト指揮 の本領であり、鷲尾麻衣 の力量だろう。
 細めの声だが、突き抜けるように進んで来る。「奥様、お手をどうぞ」も素晴らしかったし、マゼットを介護する時の情感溢れる上&演技は(ドンナ・アンナやドンナ・エルヴィーラさえも凌ぐ)迫真であった。

 1人でも多くの読者に聴いて欲しい新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」。チケットは大量に余っていいる様子(爆
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