Piano Music Japan

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新国立劇場「池辺晋一郎:鹿鳴館」世界初演初日批評(No.1753)

2010-06-24 23:23:06 | 批評

「夕鶴」に続く(越えた?)『日本語レパートリーオペラ』が誕生した瞬間!



 新国立劇場が4年4ヶ月ぶりに開催した「委嘱新作オペラ」が 池辺晋一郎作曲「鹿鳴館」である。新国立劇場委嘱新作オペラは
これまでに

  1. 團伊玖磨「建(タケル)」(1997)
  2. 原嘉壽子「罪と罰」(1999)
  3. 一柳慧「光」(2003)
  4. 三木稔「愛怨」(2006)
  5. 池辺晋一郎「鹿鳴館」(2010)

と足掛け14年間でわずか4名に4作品だけである。
 カネも喰うし、名作は1作品も出ない(← 再演された演目皆無!)という散々の出来なのでこれまで新国立劇場制作部が躊躇して来たことは深く理解できる。武満徹も伊福部昭も委嘱を受ける前に死んでしまった。(「建」委嘱時はまだ、武満徹は存命だったし、「光」公演時はまだ伊福部昭は存命だった)



池辺が「鹿鳴館」の作曲を委嘱された時は、若杉弘が新国立劇場オペラ芸術監督で、全面協力してくれた


ことは広く知られている。初演は若杉が振る予定だった。
 台本&演出は 鵜山仁(新国立劇場演劇芸術監督) で、キャスティングも超豪華(後述する)。これまでの21作のオペラ以上の環境を 故・若杉弘 は「鹿鳴館」のために整えてくれたのである。池辺がいかに意気に感じたことだろうか!


 これまでの「日本オペラ界」に決定的に欠けていた要素がある。

日本オペラには「速いテンポ」と「弾むリズム」が欠けている!


のだ。器楽曲では存在しているだけに、常々不思議に感じていた。「夕鶴」もこの2点は欠けていると私高本は感じる。池辺は、「名作オペラにはテンポ感とリズム感が必須」と腹の底から感じているようで、休憩込みで3時間を超す日本オペラにもかかわらず、全くだれる感じが無い。

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1 コメント

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初日批評 (ys)
2010-07-15 23:21:32
何も弾んでいりゃー良いのか、と、私は思う。確かに上流社会の裏に虐げられた民衆の表わし方は見るべきものがあった。おかめとひょっとこの面をかぶった民衆の盆踊りのようなワルツも面白かった。あえて言えば、一つも心に残る旋律は無かった。と、私は思う。それといつものように、日本人が歌う日本語が字幕を見なければ理解できないのは、どう考えたらいいのだろう。出演者のなかで演奏が輝いていたのは大島幾雄だと思った。三島の、意図した戯曲世界とも隔たりがあったように思う。上流社会の華やかさの裏の退廃と、それを隠すべく、空虚な華やかさがもっと強調されるべきだったのではないか。池辺は書くことが多過ぎたと思う。残ったのは、民衆の踊りが異様に強調されていたことだろうか。
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