Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

初出版の器楽曲「36のオリジナル舞曲」作品9(No.1563)

2008-07-16 22:26:57 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 「歌曲王シューベルト」は、1821年時点でのシューベルト自身の自己認識 でもあった、と推察される。作品1~作品7までの作品を「全て歌曲で埋め尽くして出版」であったからだ。そんなシューベルトが(作品8の歌曲集を飛ばして)

作品7の翌々日に出版したのが「36のオリジナル舞曲」作品9


である。


 出版時点で既に

  1. 交響曲6曲 完成
  2. ミサ曲4曲 完成
  3. 弦楽四重奏曲11曲 完成
  4. ピアノソナタ(最小)3曲 完成

と新シューベルト全集で考察されているシューベルトが、「最初の器楽曲出版」に選んだのは「舞曲」であったのは興味深い。ハイドンもモーツァルトもベートーヴェンも「舞曲」「行進曲」で稼いでいたことは、21世紀の現代では明らかになっている。「ウィーン古典派の伝統を受け継いだシューベルト」の面目躍如であろう!


「シューベルトのワルツ」はJ.シュトラウス2世を先取りしている


 ハイドンやモーツァルトの舞曲が大好き、と言う人は皆無に近いだろう。ベートーヴェンの舞曲では「エコセーズ」が後世まで好かれており、F.グルダの名録音なども残っている。先輩3名の舞曲を駆け足で総括するとこのような記述になる。

 シューベルトは違う。「シューベルティアーデ」と呼ばれたシューベルトと仲間たちの音楽会では、毎回のようにシューベルトの舞曲がシューベルト自身のピアノで演奏され、友人たちが踊っていた。(ちなみにシューベルト自身は踊らなかったようだ。ピアニストがいないと音楽が無くなってしまうからだろう!)

 「ウィーンの舞曲」はシューベルトで大きな転換点を迎える。

  1. 毎年冬の「舞踏会シーズン」に「舞曲の連作」を出版で供給してくれる = シューベルトの功績
  2. 他の作曲家が盗用するほど、民衆に人気!

になったのは、シューベルトが世界初! 特に2番「悲しみのワルツ」は、作曲された1818年からすぐに大人気になったようだ。 筆写譜が出回ったのか? 誰か他のピアニストが酒場で弾きまくったのか? さすがにこの辺りの詳細までは詰めていない > 21世紀のシューベルト学者の皆様。

 但し、「ウィーン中がシューベルトの悲しみのワルツを(狂うように)愛した」痕跡ははっきり残っており、矮小作曲家2名がシューベルトの出版前に「悲しみのワルツ」を出版していることを立証してくれたことは、「現代のシューベルト学者の皆様」のおかげである。

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