Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルト舞曲の特徴(No.1625)

2009-02-09 22:53:24 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 明後日、佐伯周子 は シューベルト舞曲を 3拍子系と2拍子系両方弾く。「他の作曲家の舞曲」に比べてどのような特徴があるのかを記して見たい。

シューベルト舞曲の特徴



  1. 「作品番号付き曲集」は相当に大規模で「36のワルツ」「34のワルツ」などは時間的にも30分を越える大作である。他の作曲家にはこれだけの規模の「曲集」は無い。

  2. 1つの曲は短く、8 - 32小節が大半。最も長くて64小節。これは逆に短い。

  3. 「A-B-A-C-A」と2つのトリオを持つ「5部形式」はあるが、それ以上込み入った構成は無く、ウェーバーやショパンやJ.シュトラウス2世のような「超人気作」は21世紀現在は無い

  4. 「単独曲の組合せ」について、他の作曲家よりも自由自在は柔軟な考えを持っていた

  5. 毎シーズン「新規舞曲」の注文が舞い込んでくる「当時の人気作曲家」であった

  6. 並行調への転調は頻繁で、冒頭と終結で並行調へ転調していることは、他の作曲家に比べ多い


 ウェーバー「舞踏会への勧誘」、ショパン「華麗なる大ワルツ」、J.シュトラウス2世「ウィーンの森の物語」、ラヴェル「ラ・ヴァルス」に匹敵する人気を21世紀現在では保っていないことは認めよう。上記4曲は、相当に込み入った構成であり、シューベルトの「36のオリジナル舞曲」では、超人気作であった「悲しみのワルツ」は2曲目に出て来ただけで、再現されない。上記4曲は冒頭主題は必ず回帰する。
 時代の問題では無い。ウェーバーはシューベルトよりも11才年上の「同時代人」だからだ。


 ・・・で、個々の曲の魅力について詳細に聴いて見ると、シューベルトが「作品番号」を振って出版した作品群は素晴らしい曲が多いことはもちろん、作品番号を振らずに出版した作品(例えば D976,D978)も素晴らしい作品。ただ「時間的にあまりにも短い」だけである。特に D978 は「単独舞曲の名作!」と呼びたいほどの名曲。未出版の曲にも名曲は多いぞ(D790/1とか)
 「ドイチュの作品主題カタログ」だけを見ていても、「シューベルトの舞曲の魅力」はわからない。私高本がお薦めするのは

ご自分で「シューベルトの通り」に弾いて見る


である。
 ヘンレ版楽譜を購入して、「MS.」をきちんと把握しさえすれば、抜けている曲の情報は全てわかる。ドーヴァーから出ている「ドイチュ:シューベルト作品主題カタログ復刻版」で、その全容の90%は掲載されている。(新シューベルト全集「舞曲第1巻」を購入すれば全て解決しますが、4万円掛かりました。今は円高だからもう少し安くなっているかも知れません。)
 細かなことが面倒くさい人は「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠る完全全曲演奏会」を聴いて下さい。第5回と第6回も舞曲を弾きます。
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