Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場オペラ「コジファントゥッテ」批評(No.1871)

2011-06-02 23:40:49 | 批評

狙い通りに実現した「ミキエレット演出」+ 正確な時計職人「ゴメス=マルティネス指揮」で大成功に導かれた「コジファントゥッテ」


 5/29初日公演を聴いて、「誰のおかげで公演が成功したのか?」がはっきり掴めなかったので、2日目の本日6/2公演も聴いて来た。冒頭に掲載した通り、この新国立劇場「コジファントゥッテ」公演が成功した大きな原因は、演出と指揮が中心である。それから忘れてはならないこととして

指揮者、フィオルディリージ、デスピーナ、フェルランド と4名も降板したのに、実力ある代役を引っ張って来てくれた制作部!


にも感謝。いくら、演出+指揮が良くても、実際に歌い演じるソリスト陣の力量が極めて大きいことは言うまでもない。


 新国立劇場「コジファントゥッテ ミキエレット演出」は新演出である。しつこく書くならば「世界初演出」である。先2代のオペラ芸術監督が積極推進していた「コプロダクション」では無い。金銭的にもキツい可能性が高い上に、出来が悪ければ「尾高忠明芸術監督+制作部」の責任問題になるのは必至。しかもミキエレット演出は「読替演出」パターンと言うではないか!
 私高本も「読替演出」は基本的に嫌いである。ホモキ演出とかは2度と見たくない。新国立劇場オペラでも「ブーイング炸裂」が実績である。つまらないからなあ。
 モーツァルトが死んで今年で220年。その間に起こったことは山ほどあるから、時代を「モーツァルト作曲よりも後にしたい」演出家の気持ちはわかる。モーツァルトが愛していた馬車で、オペラハウスに来る人は東京に限らず全世界で1人もいないだろうからなあ(爆

 ・・・と言っても、ロッシーニ「チェネレントラ(シンデレラ)」で馬車の代わりに豪華乗用車が出てくるだけの程度の演出ならば、誰も怒らない代わりに誰も感動しないだろう。世の中の「オペラ指揮者」の半分以上は、「珍奇な演出嫌い」であり、サヴァリッシュとかサンティとかの長老も表明していることである。「若手演出家」には世知辛い世の中である(爆


 ミキエレット演出 を観るのは初めてだ。日本初上陸だからなあ。プログラムを購入したら、「モーツァルト~ロッシーニが得意な読替演出家」のようだ。プッチーニ「蝶々夫人」も演出したことある、とのことなので、時代限定はいかんのかも知れない。

モーツァルトの書いた曲(ナンバー)は出来る限り全部歌い演じるが基本路線


  これを貫いていたと思う。私高本が持っている楽譜は、「ベーレンライター新モーツァルト全集縮刷版」だが1991年発行となっている。全部を通して詳細を読めたわけではないので、細かな省略とかはわからん(爆
 プログラムに掲載されていた 礒山雅 の曲数よりは明らかに多く歌っている。この辺り、ミキエレットも「初演出」なので、『現場に出るまでわからん』状態だった可能性が大。礒山は、「バッハ、モーツァルト、ワーグナー」の3名に限っては、全面的に信じて良い評論家である。(他は見たことも無いなあ)

「2011年にモーツァルトが生きていたら、こんな設定にするだろうな!」が基本コンセプトのミキエレット演出


  台本と大きく異なるのは「デスピーナの位置」だけ。「フィオルディリージ+ドラベッラ姉妹のおつき」から「デルフォンソ経営の森林ペンションのバーのマダム」に変更されている(爆
 登場時の悪態に爆笑。喫煙させていたが、喉痛めないか? それだけが心配。歌手寿命は(マリア・カラス見ても)短いからなあ。今回公演で歌手生命縮めないで下さい><

 ミキエレット演出は「モーツァルトは正しい」が大前提になっている。「1790年世界初演」と「2011年5月29日ミキエレット演出初演」の201年の時間差を良く考えている。それから「モーツァルトが書いた音符」以外の音符は1音も出さない。もちろん、演出原因のノイズは多少は出たが。

 それから特筆しなければならないことの1つに

「ミキエレットは原典重視演出」


がある。最も大きな点は「デスピーナの2回の変身時の声作り」である。スコアには特に何も書かれていないようだ。「偽医者」も「偽公証人」もどちらもだ。ミキエレット演出は、この辺りもきちんと説得力ある演出だ。


 前回公演「バラの騎士」は悲惨だった。オクタヴィアンがどうしようも無かったからなあ。日本人でもあれ以上は、何人か居た、と思っている。林とか。経費節減しているのかな > 新国立劇場(爆
コメント
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