前号に書いた「楽興の時 作品94 D780」と「即興曲集 作品142 D935」は実のところどちらが先の作品かは確定できていない。「楽興の時」が自筆譜も無ければ筆写譜も遺っていないからだ。だがシューベルト自身が
で出版社と契約しているので、おそらく「楽興の時」の方が先に完成した作品だったのだろう。
「即興曲集 作品90 D899」はおそらく 楽譜商ハスリンガー の依頼作品である。「幻想曲集 作品78(← ト長調ソナタのこと)」で儲けたハスリンガーが持ちかけた曲集だろう。1827年4月11日が「幻想曲集 作品78」の出版日なので、依頼は夏くらいかな?
だったと推測する。
D899/1 は、「草稿」を最後まで書き残した上に、新たに全曲書き直している。新シューベルト全集購入すると1冊約4万円なので、私高本に疑問を感じる人は「音楽之友社」から刊行されている「ウィーン原典版」を購入してね。バドゥラ=スコダ校訂の素晴らしい楽譜です。5千円札を出せば相当なおつりが来る安い値段で売っています > 日本語版
「ソナタでない」曲でシューベルトが最も得意にしていたのが「変奏曲」。これは「シューベルトが出版したい、と思ったピアノ変奏曲」全部を出版に漕ぎ着けている。列挙しましょうか?
と次々と出版された。次の「即興曲集」にも変奏曲を入れており、シューベルトは(31才で死ぬとは思っていなかったので)生活の足しに確実になる変奏曲を頼りにしていたのである。
作品番号と出版順序は一致していないことが多々あるので注意して読んで下さい。
- 楽興の時 作品94
- 即興曲集 作品101(← これは実現しなかった!)
で出版社と契約しているので、おそらく「楽興の時」の方が先に完成した作品だったのだろう。
「即興曲集 作品90 D899」はおそらく 楽譜商ハスリンガー の依頼作品である。「幻想曲集 作品78(← ト長調ソナタのこと)」で儲けたハスリンガーが持ちかけた曲集だろう。1827年4月11日が「幻想曲集 作品78」の出版日なので、依頼は夏くらいかな?
- 「ソナタ」のような多楽章構成でありながら
- 「ソナタ」でない「小品集」が
- ハスリンガーの依頼内容
だったと推測する。
D899/1 は、「草稿」を最後まで書き残した上に、新たに全曲書き直している。新シューベルト全集購入すると1冊約4万円なので、私高本に疑問を感じる人は「音楽之友社」から刊行されている「ウィーン原典版」を購入してね。バドゥラ=スコダ校訂の素晴らしい楽譜です。5千円札を出せば相当なおつりが来る安い値段で売っています > 日本語版
「ソナタでない」曲でシューベルトが最も得意にしていたのが「変奏曲」。これは「シューベルトが出版したい、と思ったピアノ変奏曲」全部を出版に漕ぎ着けている。列挙しましょうか?
- 変奏曲 ホ短調 作品10 D624(1822.4.19出版)連弾
- 「さすらい人幻想曲」作品15 D760(1823.2.24出版)
- ディアベリ変奏曲 D718(1824.6.9出版)
- 自作主題に拠る8つの変奏曲 作品35 D813(1825.2.9出版)
- ピアノソナタ第16番 作品42 D845 第2楽章(1826.3.1出版)
- 「アンダンティーノと変奏曲」 作品84の1(1827.7.6出版)連弾
- エラールのオペラ「マリー」に拠る8つの変奏曲 作品82(1827.9.3出版)連弾
- 「即興曲集」作品90の1(初出時は作品87,重複していたのでおそらくシューベルト自身によって作品90へ移行)D899/1(1827.12.10出版)
と次々と出版された。次の「即興曲集」にも変奏曲を入れており、シューベルトは(31才で死ぬとは思っていなかったので)生活の足しに確実になる変奏曲を頼りにしていたのである。
作品番号と出版順序は一致していないことが多々あるので注意して読んで下さい。