ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

立候補@元・立誠小学校 特設シアター

2013-07-29 14:11:00 | 映画感想
泡沫候補というのか。知らなかった。
因みに映画を撮っている藤岡利充氏も泡沫監督らしい。
泡沫監督が泡沫候補を取り上げ、泡沫市民に向けて送る、泡沫映画。

・・・・
ちょっと言い過ぎました。すいません。

マック赤坂さんも外山恒一さんも、知ったのは去年の衆院選のときやったやろか。羽柴秀吉さんは前から知っているな、名前効果?

本作品は、マック赤坂さんを中心に、二年前の大阪府知事選に立候補した勝ち目のない候補を追いかけるという内容。

っていうか、二年前の大阪府知事選挙に7人も立候補しているなんて知らなかった!
最初の方で留学生らしい女性が、「候補者?じゃないですよね?だって、大阪府知事に立候補している人って三人しか出ていませんでしたよ」みたいに言っていたのがすべての始まり。

マック赤坂さんも最初から食ってかかったのはこの点。
選管に三人しか取り上げていない新聞記事を見せて不公正だ、こういう不公正さも管理してくれ、と抗議する。

マック赤坂さんの選挙活動は、政見放送でもおなじみのスマイルダンスが武器。
「候補者やったら歌ってんとちゃんと政策を語れ」とヤジるおっちゃんもいるが、逆に真面目に話し始めると集まらない聴衆たち。

しかし、大阪地下街でやったり、学祭中の京大の門前(選挙区外)でやって文句を言う女子学生を恫喝?したり、四条河原町の交差点(選挙区外)ど真ん中でスマイルダンスしたり。いくら公職選挙法で認められているからって、それはちょっと。。。
と思うのは、結局常識人の限界か。

マックさんの息子さんは会社の経営を任され、選挙活動をする父親と一線を置いている様子。
ま、客観的に見ても、それは正しい立ち位置かな、と思っていた。

ラスト近くまで、マックさんの意図を図りかねていたけど、最後の方、東京の衆議院選選挙で自民党候補の演説に乗り込むマック赤坂氏。そこに、あれ?おるやん息子さん。
集まった聴衆からマック赤坂氏へ浴びせかけられる容赦ないヤジへ、堪えきれなくなった息子が突然応酬をはじめる。
「一人でやってんねんぞ!おまえらにできるのか!?」

あぁ、そうか、そういうことなんだ。

映画コピーの「笑えます。泣けます。」はウソじゃなかった。

日の丸を掲げた自民党支持者の海の中に単身乗り込み挑む姿は、まるで巨象に立ち向かう蟻のよう。踏みつぶされて、終わるだけの、憐れな彼を象の群れは嗤い嘲る。

そう、彼は笑われながらも戦っているのだ。たった一匹。。。いや、一人で。
「真面目にやれ!」そんな風に言う人も多くいるが、なぜマックさんが真面目じゃないと決めつけられる?きっと大真面目なんだ。
逆に大真面目でなくて、何でこんなことができよう?
あの小さいアリンコが一人で巨象に立ち向かうなんて、大真面目でなければ正気の沙汰ではない。
正気の沙汰ではない、おかしいんだよあの人、と切り捨てるのは簡単だが、そうやって切り捨ててしまった人はもうその時点で盲目になる。その奥にある問題点や真実に気づくことはできない。あー、勿体無い話だね♪。

しかし、ちっちゃなアリンコが大真面目であることに気づいた時、儂らは涙を流すことを禁じ得ない。

いわゆる泡沫候補が立候補して、少しでも耳目を集めるのに、世間一般が考える真面目を貫いて、それこそ勝ち目はあるのか?そこに意味はあるのか?

どんなにみんなに泡沫候補と笑われようとも、一人で異議申し立てをして行動するその人を行動できない儂等がなんで笑うことができよう。供託金?そんなん言い訳やん。金がなくても気持ちがあるなら、きっと彼らを嗤う気持ちなんか起きっこない。

先の参議院選挙ではついにガンジーのような姿で選挙戦に望んだマックさん。議事堂前での第一声演説風景を中継で見た。好意的に見る儂にとっては彼の本気度を見るような思いではあったけれど、そうじゃない人にとってあのグダグダと相変わらずの煮え切らない感じは、やはりふざけたようにしか見えないのかもしれない。

話は戻って、映画の中での大阪府知事選。
一番の有力候補である大阪維新の会の選挙事務所に表敬訪問。カメラは中に入れないし、事務所の隣の部屋ははいっちゃだめだと。
ま、確かにカメラが入って映されたら困るもんがあるというのは普通の感覚ではわからなくもないが、どうなのだろう?ちょっと異様な気がした。
支持者の個人情報などがある、と言われればわかるが、それ以外に何を隠しだてするものがあるのだろう。開かれた選挙?そんなものと真っ向逆の世界があそこにあることをイメージさせた瞬間。選挙はちーっとも有権者のものではないのだ、残念ながら。

そして、選挙最終日、維新の会が演説しようとしている場所に乗り込んで対決を試みるマック氏。「どうぞ、先に喋ってください」と橋下徹。それに「橋下さん、あんたは懐の広い人だ」と応えるマック氏。一見和やかに場が収まって互いに好印象であるが、後日の記者会見の席で橋下さんの言は酷かった。
「あぁしないと、収まらないでしょ」「主張内容?覚えてませんよ」
そうか。成る程。
本意で「他候補の主張もこの場でしてもらおう」としていたのではなかったのだ。
「邪魔だから、ガス抜きしてさっさと去ってもらおう」って感じだったのだろう。
というか最初から同じ土俵の候補者とも思っていなかったのだろう。
ふむ、相手を見下していてなんとも彼らしい。それでこそ橋下さん。:-p

人をバカにしている。
人をバカにするような候補者を儂ら日本人は支持してしまう。
本当は儂ら有権者自身がその候補者自身にバカにされる存在であることに気づきもしないで。

親方日の丸か。
長いものに巻かれるか。
少なくとも、そこに民主主義の思想はない。

最後の自民党候補者の演説で浴びせられる罵詈雑言、一斉に降られる日の丸、耳を覆いたくなるような酷い言葉を吐きかけながら、笑ってマックさんを携帯で撮るどこにでもいそうな普通の人達。絶対にこの国は病んでいる、と思った瞬間。
反吐が出そうな言葉で人を罵る事を何とも思わないその人達は、今電車で隣にすまして座っている人かもしれない。
背筋が凍る。

この映画に現れている居心地の悪さと人間の醜さは、間違いなく今の日本人の姿なのだ。そう、今の日本は間違いなく異様なのだ。
それを認めるところから話を始めなくてはいけない。
うーん、果てしないなぁ。

あそうだ、今度は想田監督の「選挙」も見なきゃなぁ。。。。

立候補@元・立誠小学校 特設シアターの画像

立候補@元・立誠小学校 特設シアターの画像