ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

空気人形@京都シネマ

2009-10-24 19:48:22 | 映画感想
耽美というべきか。。。
メッセージ性云々よりも、その持つ雰囲気。 なんといってもペ・ドゥナ。この映画の要素の90%くらいはペ・ドゥナです、きっと。
#ARATAも大好きな役者だけど残念ながら3%くらいの感じです☆

ラストシーン。
過食症の彼女が思わず呟いてしまった景色は、確かにこの世のものとは思えませんでした。
うん、きれいだね。 きれいだと思うことがこんなに切なくて苦しい景色って一体なんなんだろう。

ファンタジーというにはあまりに危なっかしく、虚しく、救いも無い。中身だけで判断するならひたすら辛い内容だよねこの映画は。耽美派。儂のイメージする耽美とは、確かこんな感じだったかもしれない。
#谷崎を読んだのだってもう何時の事だったやら。。。あぁ、文学に疎い事がバレバレだ(汗;)

で、ペ・ドゥナ。

リンダリンダリンダで初めて見た彼女はあどけない、という印象が強かったなぁ。
あどけない表情はそのままに、でもそんなものよりももっともっとイノセントな彼女。なにしろ今回の役は中身は何も入っていない空気人形。

なんつーか。
今回の空気人形では白痴?というのは語弊があるか?。。。空虚さとそこに溢れる未知の世界へのワクワク感と垣間見えてしまう虚しさ、純粋であるが故に傷つくことへの恐れとか、危なっかしい浮遊感に常につきまとう不安感。。。あぁ、なんかうまく表現できないなぁ。 
なんかうまく表現できないけれども、心を持っていなかったものが持ってしまった人形の気持ちが痛々しいほどうまく表現されてる気がする。判るはず筈なんかないんだけどね。ありえないのにこの説得力はすごい。

何よりこの映画で辛いのは周囲の人たちの孤独感。
出てくる人の全てが閉塞した孤独を抱えているかのような辛さがなんともなぁ。
#そうじゃないのはオダギリジョーくらいか?

そして、板尾さんは言うのだ「人間は面倒くさい。だから元の人形に戻って欲しい」と、さらりと。

そ、それは。。。。きっとみんなが思いながら言ってはいけないと自制しているセリフではなかったのか?
言ったな!言ってしまったな!
こんなに重い危険なセリフをさらりと言うなんて、なんと人間は無遠慮なのか。
いや、相手は人形。しかたない?
でも、心を持ったことを知り、それによりそう観客にとっては強烈な一言だ。

「心なんて持たなければよかった?」
そう聞かれて、その方が良かった、とは答えなかったけど、最後の最後にはどう思ったのだろう。
それを考えると切なくてたまらない。

この世の中はかくも上手くいかないものか?
ひとりひとりはみな一生懸命なのに、どうしようもできない何ものかにその思いは塞がれていくのだ。

誰かのかわりでもいい、と言ってくれる空気人形をみんな求めているのか?

みな求めているだけでは結局変わらないのにね。
知らず知らずのうちに、誰かのための風であったとみんなが思えれば少しは救いになるのかね?