去年逃したこの映画。京都に再上陸です、えらいぞ!みなみ会館♪
とはいうものの、正直どうとらえたらいいのか、この映画。うむ。
いや、わからなくはない。昭和天皇の姿を終戦直前から人間宣言をする辺りまで追いかけた映画だ。
そこで天皇は悩み苦しみ悪夢にもだえる生身の人間として描かれる、淡々と。昭和天皇については儂も入江侍従長の本や回顧録を読んでいるけど(何故か中学時代に)そういうヒューマンな天皇というのは比較的知られている姿だと思う。勿論、世代の感覚の違いや主義的な見方の違いはあるにせよ。
それでも、なんか違うのだ。
いや、違うというのは「こんなん違う、なんでこんな変な映画作んねん!」みたいな違うではなく、そこに映されている天皇像は知っている筈の(自分が思っている通りの)昭和天皇なのになんだか今まで知らなかった天皇陛下の本当のお姿を見ているような気になる、そんな不思議さ。わからん。
ただよく判ったのは、少なくとも自分は昭和天皇が好きだったんだ、という事。(お、ちょっと危険な発言だ、不敬罪で捕まりませんように)
映画の中で老齢の侍従や、マッカーサーの通訳が物陰や扉の向こうから本当に心配そうに伺い見るシーンが何度かある。少なくとも自分の昭和天皇への気持ちはあの眼差しと同じなのだ。語弊と失礼を承知で言うが、この無邪気で無垢であるが、一方で分別や思慮の深い、英雄とか独裁者とかカリスマとか豪傑なんていうイメージとはおおよそ相容れない、物静かなしかしながら「ある意味間違いなくヒーロー」である彼の事が愛おしく心配で仕方なく感じるのだ。
(ここ感情的にうけとめないでね♪)
特筆すべき事がいくつかあると思う。
1つにはこれが外国映画として作られているという事。
1つには色彩を抑え、絶えず低いトーンで奏でられるセロや爆音機のような音が伝える、静かな、そしてどことなく蔭を孕んだイメージ
1つにはイッセー尾形の演技力(と言って良いのか?)
外国に住んだ事はないので思いこみで言うけど、天皇というシステムはとてつもなく外国の人にはわかりにくいシステムだと思う。名目上責任者であるが、実質的に責任を取る必要がないシステム、天皇。名目と実質が違うというシステムをどう理解して貰うのか。気が遠くなる。それを理解した上で、そのシステムの中で苦悩する天皇というテーマを描いてしまったのが凄い。
おそらくこの映画にさほど色彩はいらいない。「あっ、そう」が口癖の昭和天皇、そっけないようだけど、園遊会などでは興味がある事には子どものように好奇心を露わにする姿を知っている。そんなストレートな人間性丸出しの天皇を表現するのに華やかさは邪魔なだけだ。ましてや時代は戦中から終戦後。その時代の空気が昭和天皇の置かれた状況を息苦しい物にしているのが手に取るように伝わる。
というか、全編を通してひたすら息が詰まる。キリキリ胸が痛むような切迫した感じが辛い。それも演出の内か。
イッセー尾形さんについては何も言う事はないね。昭和天皇という危ういバランスを持った希有な人物をこんなに的確に表現できる人はきっと他にいない。
この映画は決して雄弁ではない、だからこそ、多くの事を感じることができるのかもしれない。
ラスト近くで皇后陛下の胸に首を預ける天皇陛下のかわいらしさと、最後の最後での後味の悪さ。
ただものではない映画でした。
#因みに京都シネマの去年上映映画人気投票では5位、この映画が5位に入るのか。。。
とはいうものの、正直どうとらえたらいいのか、この映画。うむ。
いや、わからなくはない。昭和天皇の姿を終戦直前から人間宣言をする辺りまで追いかけた映画だ。
そこで天皇は悩み苦しみ悪夢にもだえる生身の人間として描かれる、淡々と。昭和天皇については儂も入江侍従長の本や回顧録を読んでいるけど(何故か中学時代に)そういうヒューマンな天皇というのは比較的知られている姿だと思う。勿論、世代の感覚の違いや主義的な見方の違いはあるにせよ。
それでも、なんか違うのだ。
いや、違うというのは「こんなん違う、なんでこんな変な映画作んねん!」みたいな違うではなく、そこに映されている天皇像は知っている筈の(自分が思っている通りの)昭和天皇なのになんだか今まで知らなかった天皇陛下の本当のお姿を見ているような気になる、そんな不思議さ。わからん。
ただよく判ったのは、少なくとも自分は昭和天皇が好きだったんだ、という事。(お、ちょっと危険な発言だ、不敬罪で捕まりませんように)
映画の中で老齢の侍従や、マッカーサーの通訳が物陰や扉の向こうから本当に心配そうに伺い見るシーンが何度かある。少なくとも自分の昭和天皇への気持ちはあの眼差しと同じなのだ。語弊と失礼を承知で言うが、この無邪気で無垢であるが、一方で分別や思慮の深い、英雄とか独裁者とかカリスマとか豪傑なんていうイメージとはおおよそ相容れない、物静かなしかしながら「ある意味間違いなくヒーロー」である彼の事が愛おしく心配で仕方なく感じるのだ。
(ここ感情的にうけとめないでね♪)
特筆すべき事がいくつかあると思う。
1つにはこれが外国映画として作られているという事。
1つには色彩を抑え、絶えず低いトーンで奏でられるセロや爆音機のような音が伝える、静かな、そしてどことなく蔭を孕んだイメージ
1つにはイッセー尾形の演技力(と言って良いのか?)
外国に住んだ事はないので思いこみで言うけど、天皇というシステムはとてつもなく外国の人にはわかりにくいシステムだと思う。名目上責任者であるが、実質的に責任を取る必要がないシステム、天皇。名目と実質が違うというシステムをどう理解して貰うのか。気が遠くなる。それを理解した上で、そのシステムの中で苦悩する天皇というテーマを描いてしまったのが凄い。
おそらくこの映画にさほど色彩はいらいない。「あっ、そう」が口癖の昭和天皇、そっけないようだけど、園遊会などでは興味がある事には子どものように好奇心を露わにする姿を知っている。そんなストレートな人間性丸出しの天皇を表現するのに華やかさは邪魔なだけだ。ましてや時代は戦中から終戦後。その時代の空気が昭和天皇の置かれた状況を息苦しい物にしているのが手に取るように伝わる。
というか、全編を通してひたすら息が詰まる。キリキリ胸が痛むような切迫した感じが辛い。それも演出の内か。
イッセー尾形さんについては何も言う事はないね。昭和天皇という危ういバランスを持った希有な人物をこんなに的確に表現できる人はきっと他にいない。
この映画は決して雄弁ではない、だからこそ、多くの事を感じることができるのかもしれない。
ラスト近くで皇后陛下の胸に首を預ける天皇陛下のかわいらしさと、最後の最後での後味の悪さ。
ただものではない映画でした。
#因みに京都シネマの去年上映映画人気投票では5位、この映画が5位に入るのか。。。